マイクロプラスチックによる海洋汚染の報道が欧米で目につくようになったと思っていたら、その種のニュースが増殖し、やがて日本でもメディアが熱心に報じるようになった。今や、マイクロプラスチックによる海洋汚染は、現代の人間社会における議論の余地なき問題で世界は早急に対応しなければならないとの雰囲気ができ上がった。
以前から廃棄物による海洋汚染は指摘されており、数カ国が対策を講じたとしても効果は限られるだろうから、多くの国が共同して対応しなければならない問題だろう。海洋面積は約3億6000万km2で、地球全体の約71%を占める。その海洋で廃棄物による汚染が悪化しているとすれば、確かに大きな問題だ。
だが、違和感を感じるのは、特定の問題を提起するニュースが欧米で急に増えて世論が誘導される結果になったことだ。廃棄物による海洋汚染は以前から指摘されていたのに、なぜ急速にクローズアップされたのか。世界における世論の喚起・誘導を狙った仕掛けが存在する疑いがある。
マイクロプラスチックによる海洋汚染の報道はアジアやアフリカ、アラブなどから出てきた問題提起ではない。欧米で特定のニュースが急増し、それで人々の問題意識が設定され、一定方向に世論が誘導され、やがて世界がそれに従うという構図だ。これと同じようなことは過去に繰り返されてきた。
例えば、ボスニア紛争やコソボ紛争などで幼い子供が犠牲になったことを強調するニュースで欧米の武力介入を促したり、地中海で幼い子供が溺死した写真で難民への同情をかきたてたり、世論を一定方向へ誘導しようとする報道が欧州発のニュースに珍しくない。その主張はリベラル寄りであると同時に、ある種のプロパガンダ臭が漂う。
ウミガメやクジラなどの死骸の体内から大量のプラスチックが見つかったなどと読み手の感情を刺激し、海洋生物への同情を誘う記事が次々に流され、規制しなければという方向へ導いて行く。これは、ニュースを仕掛けて問題意識を喚起し、狙った方向に世論を誘導するという顕著な成功例の一つとなった。
世界的に問題を設定することでは、メディアの発信力が際立って強い欧米が主導権を握る。海洋汚染の問題には世界的な対策が必要であろうから、意図的なものであっても問題提起は許容されるという見方もある。ただ、善意で意図が正しければ報道は世論を誘導しても許される……ことにはならない。報道機関の自己流の善意や正義が、常に善きことで正しいとは限らない。
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