2019年3月2日土曜日

猫の足あと

 「雪やこんこ」と歌い出す童謡「雪」は100年以上前の作品で、子供の頃に歌った人は多いだろう。その歌詞にある「犬は喜び庭かけまわり 猫はこたつで丸くなる」から、猫は寒さが苦手で雪が降ると外に出ないとの漠然としたイメージを持っている人も多いかもしれない。

 確かに飼い猫なら雪の日の外出をやめることができる。飼い主が餌を用意してくれるし、縄張り(飼い主の自宅の中)の平安は保たれているだろうし、安心して眠ることができる場所もある。だが、野良猫は違う。雪国で生きる野良猫は、雪の日にも餌を探し、縄張りを見回る。

 降雪量が多い日には短足胴長の猫は動きづらいだろうが、2、3cm程度の降雪の日には、新雪に猫の足跡が延々と続いているのを見ることができる。いつも同じコースに、方向も同じ足跡を見るので、おそらく野良猫の見回りは決まった順路を決まった辿り方で行われている。

 注意して見ると野良猫の足跡はけっこう広い範囲にあることに気がつく。猫の行動範囲は半径500mぐらいになるともされ、都市部の野良猫なら住宅街のあちこちに餌場などがあるのだろうから、見回りは生きるための欠かせない行動だ。野良猫は雪の日にも、丸くなって休んでいることはできない。

 野良猫はあちこちにいるので、その縄張りは重なり合っているのだろう。そうした猫の集まる場所があって、猫の集会が行われているなどとされる。雪国では、人通から離れた日当たりのいい場所に猫が集まっていたりする。互いに微妙な距離感で座っているだけなので猫たちは、ただ日向ぼっこしているだけのようでもある。

 雪を喜ぶと歌われる犬だが、最近は冬に、寒さ対策なのかウェアを着用した小型犬を散歩させている光景を見かけることが増えた。その多くが洋犬で、寒さに弱いのか抜け毛対策なのか定かではないが、ウェアを着用した犬の従順な様子を見ると、雪に喜んで駆け回るほどの活発さが伝わってこない。

 野良犬なら野良猫と同様に雪国でもたくましく生きるのだろうが、野良犬は現在ほぼいなくなったから、野良猫のたくましさだけが印象に残るのかもしれない。雪の朝、新雪に延々と続く足跡は野良猫の活発な行動を可視化する。

0 件のコメント:

コメントを投稿