世界への輸出基地として高度成長を続けて世界2位の経済大国になった中国は、次第に独自の政治的な主張を強めるようになった。欧米の価値観に基づく現在の国際秩序の変更をあからさまに唱えたり、新興諸国との連携を強化したりする一方で、軍事力の膨張を進め、海軍の展開能力の拡大を誇示する演習などを繰り返している。
中国への投資や中国企業の米国での上場などで利益を得ていたため中国の経済成長を歓迎していた米国は、中国に対する警戒心を高め、その膨張する軍事力は西太平洋から東アジアにかけての米国の軍事覇権に対する脅威だとの認識に転じた。米国は中国企業に対する制裁を増やし、米国内での中国人の活動制限を厳しくするなど、中国封じ込めに転換した。
対抗して中国も米国企業を標的に制裁を発動し、互いに相手国企業の活動に対する制約を増やしている。制裁対象になるのは軍事関連や情報関連などの企業が多く、民生品に関わる企業が制裁対象になることは少ない。だが、中国では、行政機関による法の解釈が恣意的で、外資企業も共産党統治のシステムに組み込まれることを強制されるなど、以前から外国企業の経済活動は自由ではなかった。
さらに米国は中国EVに高関税を課すなど関税面でも中国からの輸入を制限する方向に動き、「やられたら、やりかえす」中国は対抗して米国からの輸入商品に関税を上乗せするなど、互いに国内市場を囲い込み、相手国の商品の国内市場からの排除を進める。EUも中国EVに高関税を課したので、中国は対抗措置に動くだろう。
制裁合戦や関税引き上げで各国が国内市場を囲い込む動きが広がると、最も影響を受けるのは輸出主導で成長してきた中国だ。中国の国内市場は大きいと内需主導の成長に切り替えるしかないだろうが、国内需要を遥かに上回る生産能力が中国経済の重荷になる。国内需要を遥かに上回る供給能力は中国の強みだったが、それが弱点に転じる。
「これからは内需だ」と中央政府が指示したとしても、中国の人々が簡単には消費活動を活発化させないことは、不動産バブル崩壊で国内消費の停滞が長引く現実が示している。自由貿易により多大な利益を得てきた中国は、制裁合戦や関税引き上げなどで各国が保護貿易に向かうことに反対し、「自由貿易はwin-winだ」などと主張するだろう。
だが、国内のインターネット空間への米国など外国企業の参入を制限し、基幹産業は国営企業などで押さえ、スパイ取り締まりを口実に外国企業の駐在員らを逮捕するなど、様々な非関税障壁で国内市場を保護する保護貿易は中国が以前から続けてきたことだ。自国市場を保護しながら、自由貿易で各国への輸出を拡大させるという状況は中国に好都合だったが、そんな状況に変化が訪れようとしている。
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