2024年12月18日水曜日

領土を広げる

 「抵抗の枢軸(Axis of Resistance)」とはイランが支援する中東の武装組織のネットワークで、ガザのハマスやレバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派などが含まれる。イランは武器や資金などの提供のほか、軍事訓練を指導しているとされ、中東各地での情報も共有していただろう。各地の武装組織は反イスラエルの行動などを続けてきた。

 枢軸(axis)とは「回転軸、軸線、(物の)中心線、活動の中心となる重要部分」で、枢軸国(the Axis)は第二次大戦で三国同盟の側に属した国。イスラエルや米国などに対する抵抗運動を行う武装組織群の中心にいるのがイランという構図だが、それぞれの武装組織は独自の判断で活動していたともされる。周辺国に散らばる武装組織はイスラエルにとって現実的な軍事的脅威だった。

 ハマスのイスラエル攻撃に端を発したイスラエル軍の容赦のないガザ侵攻で、ハマスは弱体化した。イスラエルは次にヒズボラの弱体化を目指し、ヒズボラの戦闘員らが所持していた通信機器を爆発させて多数を殺害したり、複数のヒズボラ幹部を殺害したり、レバノンのヒズボラの拠点に対する空爆を繰り返し、時には大規模な空爆で多数の死傷者を出している。

 レバノンという独立国に対する攻撃は侵略行為だが、レバノンでヒズボラは合法政党で、議会に多数の議席を有するなど国政に影響力を持ち、軍事部門は政府軍をしのぐ戦力とされるなど強大な存在で、イスラエルの攻撃に対してレバノン政府は見ているだけだ(ヒズボラはイスラエルにロケット弾による攻撃を行っているので、ヒズボラの取り締まりをイスラエルから要求されてもレバノン政府は何もできない)。

 ハマスの攻撃に対して容赦ない過酷な反撃を行ってハマスを弱体化させたイスラエルは、ヒズボラに対する様々な攻撃をエスカレートさせてヒズボラの弱体化を進める。イスラエルは圧倒的な軍事力で一気に「抵抗の枢軸」の弱体化を進め、中東におけるイランの影響力の減退を狙う。これは中東における勢力のバランスを狂わせ、ヒズボラの弱体化でシリアではアサド政権があっけなく崩壊した。

 イスラエルはシリア国内にも攻撃を活発化させ、ゴラン高原から進んで緩衝地帯に軍を進駐させた。自衛のために周辺国の武装組織を攻撃しているとの主張だが、ヨルダン川西岸で入植地を増やして領土化し、ガザではイスラエル軍の管理する土地を増やし、ゴラン高原でも入植地を増やすという行動は、防衛を大義名分に領土拡大を実現している。圧倒的な軍事力で領土を拡大するという行動には国際的な批判が多いが、イスラエルの行動を止めることはできていない。

 「抵抗の枢軸」ネットワークをズタズタにされたイランが、ハマスやヒズボラの勢力を回復させるのは簡単ではないだろう。通常兵器ではイスラエルに対抗できないとイランが核兵器の開発に積極的になると、それを阻むためにイスラエルがイランを攻撃するとの懸念も浮上している。戦線を広げたイスラエルは、もう後戻りできないだろう。イスラエルは軍事力に頼り、防衛のためと占領地(=領土)を広げ続ける。

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