2024年12月25日水曜日

米軍には頼れない

  もしもの時に保険金の支払いが行われるから、生命保険や損害保険は成立する。もしもの時になってから保険会社が様々な理由をつけて保険金の支払い拒否を繰り返すと、そんな保険会社は信用されなくなる。もしもの時にも保険金の支払いが行われるかどうか信用できない保険会社と契約して金を払い続ける人は、保険会社に貢いでいる。

 保険金が支払われるかどうかは保険会社の判断次第だという生命保険や損害保険はバクチと同類だが、バクチなら人々は「当たる」確率が小さいことを知った上で賭ける。保険は、約束した保険金が必ず支払われるとの信頼に基づく契約だ。もしもの時に契約が履行されず、保険金が支払われるかどうかは保険会社次第だというなら保険の名に値しない。そんな保険は空手形だ。

 トランプ氏は第一次政権の頃、NATO加盟国に防衛費の名目GDP比2%への増額を要求し、2%を達成できない国に対して米軍が防衛義務を順守しない可能性をちらつかせて圧力をかけた。日本などに対しても同様の要求を行い、NATO加盟国も日本も防衛費の増額に動いた。米国の強大な軍事力に頼るという同盟の意味が変化したのは、各国に対する防衛義務が負担になっているとの認識に米国が変化したからだ。

 日本に対して2019年に来日した当時のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が、年80億ドルの防衛費負担をトランプ大統領が求めていると伝えたそうで、在日米軍の撤退の可能性を示して日本を脅して交渉するようにトランプ氏が指示したという。多額の思いやり予算で日本は米軍の駐留経費を援助しているが、そんなものはトランプ氏の眼中になかったらしい。

 軍事力も経済力も米国は世界トップを続けているが、世界各地への軍事介入を長年にわたり繰り返して「浪費」を続け、その疲弊を隠せなくなり、米軍の軍事力の傘に入る対価を各国に求め始めた。米軍の軍事力の傘に入る対価は、各国に対する米国の大きな政治的な影響力であり、米国は相応の対価を得ていたのだが、それを米国は意識していない。

 トランプ氏は第二次政権で、以前と同様に各国に対して防衛費の増大を求め、米軍が防衛義務を順守しない可能性をちらつかせるだろう。各国は米国の要求に以前は従ったが、ロシアに対するトランプ氏の融和的な姿勢を見せられ、もう米軍が自国防衛の助けになるかどうか定かではないと判断し、米国に「貢ぐ」より自力での防衛力整備に予算を使ったほうが賢明だと防衛政策を変更する可能性がある。

 日本は、米国に防衛費の大幅増を要求されたなら、拒否して、現行の思いやり予算に見合う規模に米軍の駐留を縮小させることを容認、覚悟し、自力での防衛力整備に路線変更することが、米軍に自国防衛を頼ることができなくなったという新しい現実に対応する施策だろう。米国に資金を提供して自国防衛を委ねるという「保険」はもう空手形になりつつある。

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