2026年3月4日水曜日

パールハーバー

 1941年12月の日本軍の真珠湾攻撃は米国では、宣戦通告が行われる前に行われた奇襲攻撃であり、不意打ちであるとともに、卑怯なだまし討ちであるとされている。「リメンバー・パールハーバー」の言葉とともに日本に対する敵愾心が煽られ、米国民の怒りを高め、終戦後も日本に対する「卑劣だ」とのマイナスイメージを長く定着させた。

 真珠湾攻撃を開始する30分前に国交断絶を米国に通告するはずだったが、在米日本大使館の不手際で宣戦布告が米国側に届いたのは攻撃開始の1時間後だった。結果として当時の日本は通告なき開戦を行い、終戦後も米国では日本を卑劣視し、フェアではない行動をする国だと蔑みの対象とした。「リメンバー・パールハーバー」の言葉は現在も忘れられてはいないという。

 今回のイランに対する攻撃で米国は宣戦布告を行わず、奇襲攻撃でハメネイ氏を殺害した「成果」などを吹聴している。イランという独立国に対する戦争を開始することについて議会の承認も得ておらず、トランプ政権の独断で奇襲攻撃を行った。フェアプレーでないことは明らかだが、そのことを恥じる雰囲気は米国社会にはうかがえないようだ。

 トランプ氏にフェアを求めても無駄だろうが、米国がフェアに振る舞うことを一顧だにしない国になったのか、もともとフェアプレーを尊重しない国だったのかは知らないが、だまし討ちを行う西部劇に出てくる悪漢の振る舞いを国として米国は堂々と行っている。イラクを「悪」とするが、悪者相手でも主人公は堂々と戦うから西部劇は成立した。無法者しか出てこないのでは西部劇の世界観は成立しない。

 2月28日の午前にハメネイ氏らイラン高官が会合するという情報を得たので、夜間に予定されていた攻撃を早めたと報じられている。用心深く行動していたというハメネイ氏の所在をつかんだので即座に攻撃を開始したことは、吉良上野介の所在をつかんで討ち入りを決行した忠臣蔵を想起させるが、宣戦布告なき戦争は国家によるテロ行為だ。

 米国はベネズエラでも宣戦布告がない戦争を行った。独立国であるベネズエラに奇襲攻撃を行い、マドゥロ大統領を拘束して米国に連れ去った。マドゥロ氏もハメネイ氏も国内で独裁し、多数の人々を迫害した責任者であり、その罪は重い。だが、その罪を裁くのはそれぞれの国の人々であり、米国ではない。

 宣戦布告なき戦争を米国は繰り返してきた。米国が宣戦布告を行ったのは5回だけだという(米英戦争、米墨戦争、米西戦争、第一次大戦、第二次大戦)。今回のイラン攻撃で宣戦布告を行わなかったのは米国にとってはフツーのことであり、宣戦布告を行う必要性も意識していなかったのだろう。つまり、卑怯な奇襲攻撃を世界各地で繰り返してきたアメリカに真珠湾攻撃を卑劣だと批判する資格は、ない。

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