映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では主人公がタイムマシに乗って過去の1955年の世界にタイムスリップし、元の世界(映画では1985年)に戻ろうと四苦八苦する。戻った過去の世界は、歴史に記録された1955年の世界(空間)であった。30年前という時間と30年前の世界(空間)は結びついており、時間と世界(空間)は分離できない一体のものとして描かれる。
タイムマシンで過去に行ったとすると、そこには過去の世界(空間)があるとして様々な物語が作られた。特定の過去の時間と特定の過去の世界(空間)が一体のものであるという理解や前提で、そうした物語は成立する。もし、時間と世界(空間)の結びつきがないとすると、タイムトラベルしたなら、行った過去に、どんな世界が広がっているのか不明で、例えば30年前の過去に戻ったとしても、1200年前の世界が広がっているかもしれない。
タイムトラベルの物語で主人公が過去に戻る例が多いのは、過去の世界は記録や記憶により再現できるからだ。未来にタイムスリップするという物語では、主人公が行った先の未来の世界を表現しなければならず、作者や製作陣の想像力に頼るしかない。映画「猿の惑星」はタイムスリップ同様に時間をスキップして主人公らが未来の地球に移動するとの物語だが、未来においても、時間と世界(空間)が結びついていると描かれた。
タイムトラベルによる時間の移動は、過去や未来の世界(空間)への移動として描かれる。過去には過去の時間と結びついた過去の世界(空間)があり、未来には未来の時間と結びついた未来の世界(空間)があるとするからSF物語は成り立つ。時間と出来事が結びつき、出来事は空間内で生じるので、時間と空間も結びついているとすることで、タイムトラベル物語は成立する。
時間も世界(空間)も同時に誕生したというのが科学的な見方だ。138億年前のビッグバンで、極小の⾼温⾼密度の状態から出発した宇宙が膨張を続けて現在に至るとする宇宙論が妥当だとされている。138億年前に現在の宇宙は始まったのであり、その時に時間が始まり、空間も形成され始めた。時間にも空間にも始まりがあり、宇宙の膨張とともに時間は時を刻み続け、空間は拡大し続けている。
時間には空間が必要だ。人間が意識した時間の最初は、日の出と日の入りで1日とする時間だろう。古代の人類が夏至や冬至などを正確に計測していた例もあるなど、天体の動きで1年という時間を意識していた可能性が高い。太陽などの動きで時間を意識したのだが、太陽などが動くためには空間が必要だ。時間と空間が結びついているのは、何かの動きを可能にするには空間が必要だからだ。
天体の運動や時計の秒針、電子の振動など時間は何らかの規則的な動きによって計測されるものであり、そうした動きには空間が必要なので、時間と空間は切り離すことができない。空間が存在しなければ時間も存在しない。タイムトラベル物語が時間と空間を結びつけて展開するのは、特定の時間には特定の世界(空間)が結びついているとの記憶や理解があるからだ。
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