2018年10月10日水曜日

セダンの復権

 トヨタの「クラウン」がモデルチェンジし、受注は好調だという。ある程度の台数はコンスタントに毎年売っていたモデルだから、買い替え需要だけで相応の受注があるのは当然だろう。発売1カ月の注文の約45%が法人で、年代別では6割が60歳以上だという。

 クラウンはオーソドックスな4ドアセダンのスタイルを守ってきたが、新型は「クラウン史上最高にスポーティなデザイン」を目指したとする。リアウインドーを寝かせた4ドア6ライトクーペに変身させ、「ダイレクトで正確なハンドリング」に「徹底的に鍛え抜いた」そうだ。

 そうしたイメージチェンジが受注にどれほど影響しているのかは定かではないが、法人や高齢層からの受注が多い販売動向からは従来ユーザーが買っていると見える。メーカーはクラウンを新しいスポーティーセダンに位置付けてユーザー層の若返りを狙ったのだろうが、その効果のほどはまだ確かではない

 後部にトランクを持つセダンスタイルは長らく自動車の主流だった。しかし、自動車が大衆化し、生活道具として機能が一層重視されるようになると、乗り降りするには車高が高いほうが楽で、荷物を多く積むことができるほうが便利だと使い勝手がいいSUVやミニバンなどに世界的に需要がシフトした。

 自動車の所有がステータスシンボルであった時代は過ぎ去り、生活道具と見なされる時代になり、4ドアセダンの販売は世界的に低迷している。米フォードは北米市場でセダンの販売から撤退し、SUVなどに商品を絞ると表明、ブランド信仰に支えられている独メーカーでもSUVのラインナップを大幅に拡充している。

 そんな中でトヨタは、新型カムリの発表時に強調するなど「セダンの復権」を目指しているらしい。大ヒットすることが見込めないセダンの新型車を発表するから、「セダンの復権」を強調しなければならなくなったとも見える。だが、セダンが復権する必要はあるのか疑問だ。

 クラウンではニュルブルクリンクを走ってテストしたことをアピールするなどトヨタは、セダンの魅力として「走り」を強調する。独の高級セダンのイメージとダブらせるのは販売戦略だろうが、ファミリーカーだったセダンが「走り」のイメージに頼るしかなくなったのは、「セダンの復権」ではなく「セダンの変質」だろう。

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