2011年5月に米ニューヨークで性的暴行、強姦未遂容疑で身柄を拘束されたのが国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロス=カーン専務理事。この件は示談になったそうだが、同氏はフランス政界の実力者で、有力な大統領候補の一人でもあった。
同氏はまた、数々の女性問題でも知られていたそうだ。米NYでの事件は当時、仏大統領選の有力候補でもあった同氏を失脚させる陰謀との見方さえあったが、翌年、売春婦が参加するパーティーに同氏は臨んでいたそうだ。政治より女性が同氏にとって上位の「価値ある」ものだったのかもしれない。
国際機関の現職トップが不祥事を起こしたり、過去の不祥事が暴かれて任期途中で辞任するケースは珍しい。国際機関トップは同時に出身国の威信や利害とも微妙に関係するだけに、不祥事などがあっても隠蔽して各国は穏やかに任期を全うさせるようにするだろう。
だが、国際舞台で「強国」との自負を隠さなくなり、各国に大国として扱うよう求める中国は、せっかく2016年、国際刑事警察機構(インターポール)の総裁に中国人の孟宏偉氏を着かせたのに、その総裁を2018年9月に中国に帰国させて拘束、辞任させた。
9月下旬から総裁が行方不明になっているとの報道があり、2週間ほど後に中国は孟宏偉総裁を収賄容疑で拘束し、取り調べていると発表した。公職者の汚職摘発を担う中国当局は孟氏が捜査対象となっているとし、公安トップだった周永康氏との関係に注意を向けさせる動きもあるそうだ。
総裁の具体的な容疑は明らかにされていないが、孟宏偉氏は中国国内で長く警察関係で働き、国家海洋局副局長などに就任していた。汚職などの容疑が以前からあったのなら国際機関トップに中国が推したりはしないだろうから、孟宏偉氏が総裁に就任した後に容疑が浮上したことになる。
国際機関の数少ない中国人トップを引き摺り下ろすという中国の行動は不思議で奇妙に映る。国際舞台での「メンツ」を重んじるなら、1期だけでも任期を全うさせたり、病気などを理由に退かせることもできた。すぐ拘束に動かざるを得ない何らかの事情があったと解釈するしかないが、汚職容疑が正当なら、中国はインターポールのトップに汚職官僚を推していたことになる。
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