ドイツの検察は10月、ディーゼル車の排ガス不正問題でアウディに罰金8億ユーロ(約1千億円)を科し、アウディは「責任を認める」と受け入れた。04年以降に販売したV6とV8エンジン搭載車に、排ガス測定時にだけ有害物質を不正に制御するソフトウエアを搭載していた責任を問われた。
その不正ソフトを最初に考案したのはアウディのエンジニアだったとVWが米国検察当局との間で合意した声明で認め、当時のアウディのルペルト・シュタートラー社長は逮捕されていた。詳細は明らかになっていないが、アウディが開発した違法ソフトがVWグループ全体で使われたようだ。
6月にVWも独検察から、1000万台以上の乗用車に不正ソフトを搭載して販売したとして10億ユーロ(約1300億円)の罰金を科され、VWは「責任を認める」と罰金を受け入れた。ディーゼル不正発覚後、VWは罰金や賠償金、米国での買い戻しのために300億ドル(約3兆4000億円)を支払った。
今回の罰金でVWグループによるディーゼル不正にケリがついた訳ではない。不正発覚後の株価下落で損失を被った投資家がVWの筆頭株主のポルシェSEを訴え、損害賠償の支払いを命じる判決を独の地方裁判所が下した。同様の裁判はVWに対しても起こされており、米国でも起こされている。VWなどのディーゼル不正の「代償」がいくらになるのか、見通しはつかない。
このディーゼル不正はドイツの自動車業界ぐるみとの疑いも出ている。BMWは2月、一部のディーゼル車に不正ソフトを搭載していたとしてリコールした。ダイムラーに対して独政府は6月、不正ソフト搭載を理由にリコールを命じた。
不正ソフトが誤って搭載されたなどとしてBMWは意図的な不正を否定し、ダイムラーも意図的な不正を否定している。不正ソフトを搭載した自動車を製造・販売していたのに両社が意図的な不正を否定するのはなぜか。独の大手自動車部品企業が不正ソフト開発に関与していたと報じられたことと関係がありそうだ。
不正ソフト搭載でクリーンを装っていたディーゼル車を欧州メーカーは売りまくった。その結果、欧州で特に都市部の大気汚染が悪化し、都市部へのディーゼル車の乗り入れ規制が各地で始まった。それで不利益を最も被るのはディーゼル車を買ったユーザーだ。
不正ソフト搭載のディーゼル車のユーザーは、リコールによって排ガスを基準に適合させたとしても、燃費の悪化を余儀なくされる。排ガス中の窒素酸化物の排出量を減らすと、CO2排出量は増える(=燃費が悪化)。VWグループなどが行ったディーゼル車の大規模不正で、メーカー、ユーザー、環境とそれぞれに代償を払わされた。責任追及は始まったばかりだ。
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