米国の南側に位置するのがメキシコで、その南は順にグアテマラ、ホンジュラスと続く。外務省サイトによるとホンジュラスは人口911万人、農林牧畜業(コーヒー、バナナ、パーム油、養殖エビ等)が主要産業で1人当たりGDPは2361ドル、経済状況の立て直しが急務の課題という。
ホンジュラスへの渡航に対して外務省は、首都テグシガルバを含め国土の半分以上の地域を危険レベル2(「不要不急の渡航は止める」)とし、残りの地域も危険レベル1(「特別な注意が必要」)とするなど、治安状況は良くない。殺人発生率が高く、ギャング集団の活動が活発で、世界で最も治安が悪い国ともされる。
そのホンジュラスから、米国を目指して5千人以上の集団が陸路で北上を続け、一部はすでにグアテマラを通過してメキシコに入ったという。最初は100人規模だったが、途中で加わる人々が次々に増えて膨れ上がり、さらに新たな集団が北上を始めたともいう。どういう経緯で人々が北上を始めたのかはまだ伝えられていない。
日常において暴力にさらされ、貧困の中で生きる人々が、少しでもマシな生活を求めて移動するというのは人類の歴史において繰り返されてきたことだ。最近でも、ベネズエラから200万人以上が国を捨てて周辺国に移ったとされ、中東やアフリカからも毎年、多くの人々が欧州を目指して移動している。
国境が存在しない昔なら人々の移動は自己責任で自由だったが、地表を国家が国境で分割した現代、国境を越える人々の移動を国家は制限する。特に米国や欧州などの豊かな先進国は世界の人々の移動の目的地になるだけに、人々の自由な移動を制限する(富を世界から自国に収集(収奪)することは正当化している)。
国境を越える人々の移動は、①より良い生活を求めて先進国に移住、②生命や生活が脅かされる社会からの脱出、に大別される。②の人々は難民とされることが多い。ホンジュラスやベネズエラなどのように自国を捨てて脱出する人々は主観では難民だろうが、国際政治では移民と扱われよう。
難民と移民では国際社会の扱いは異なる。国際報道は欧米メディアが主体であるから、難民でも移民でも先進国を目指す人々は、迫る脅威とか同情すべき対象として扱われる。そうした国際報道からは、国を捨てて脱出する人々の決断の「重さ」が欠落し、そうした人々側からの視点がない。
苛政や貧困、暴力などからの逃避を人間の権利として国際社会が認めたならば、この世界は、どんなに様変わりするだろうか。先進国への人々の大規模な移動が始まり、先進国が世界から収集した富はそれらの人々のために使われ、グローバリズムの結果としての先進国への富の偏在を修正するために役立つかもしれない。
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