東京・豊洲市場の新春初競りで、青森県大間産の278kgのクロマグロが3億3360万円の史上最高値で買われた。1kgあたりでは120万円だが、これは御祝儀相場。当日のクロマグロの中値は45,844円/kg、安値は2,500円/kgというから、初競りとはいえ、あまりにも突出した価格だ。
クロマグロのサクの小売価格はバラツキ幅が広いが、2,000〜5,000円/200gぐらいだろう(1kgあたりにすると10,000〜25,000円ぐらい)。3億3360万円の初競りマグロの200gは24万円になる計算だが、“原価”で販売したとしても、買う人はいまい。
食品の価値は決めるのは①味、②食感、③健康に寄与、④害がない。初競りマグロが、どんなに味がよくて、健康にいいとしても、食品として3億3360万円の価値はない。この価格は広告宣伝費だと誰もが見るところで、今年もテレビや新聞で大きくニュースとして報じられた(欧米でも報じられたという)。
3億3360万円の初競りマグロは解体され、寿司チェーン店で通常価格で供されたことも報じられ、正月休みでネタが少ないテレビや新聞にとっては、ありがたいネタとなった。大間港で船から運び出される様子を報じたところもあり、露出時間やスペースを金額に換算すると3億3360万円のモトはとった?
初競りマグロには様々な価値があったが、食材としての価値、宣伝材料としての価値、報道のネタとしての価値、新春の話題としての価値はいずれも消費された。貨幣ならば価値を保存することができるが、初競りマグロは客に供されることで完結するネタだったので、様々な価値は消費されて消えた。
寿司チェーンが3億3360万円で、例えば、1万人を食べ放題で無料招待したり、生活困窮者への支援に振り向けたり、全額を福祉のために寄付したとしても、テレビや新聞は初競りマグロと同じだけの時間とスペースを使って報じることはないだろうから、初競りマグロに3億3360万円を投じたのは広告宣伝費としては効果があったのだろう。
テレビや新聞は初競りマグロの3億3360万円を驚きをもって報じるだけだった。踊らされるのを承知で初競りマグロに群がり、大騒ぎしてみせたテレビや新聞……様々な価値を多くの人々が消費し尽くして楽しむ一方、テレビや新聞も恩恵を受けたのだから3億3360万円を批判できなかった。
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