TPPやパリ協定などから離脱し、米国有利に諸国との貿易協定を再交渉し、外国での米軍展開を見直し、国境の壁建設を具体化し、国内では大幅減税を行うなど米トランプ大統領は、選挙時の主張を着実に実行しているように見える。
政治の「素人」が大統領になって何ができるのかとの危惧があったが、政策の是非はともかく、トランプ氏に実行力(命令力?)があることを示している。次々に主要スタッフの交代が続くのは、政権の不安定さと同時にトランプ氏個人が政権の原動力であることを示す。
選挙で公約したことを当選後に具体化し、実行することは当然ではあるが、既存の政策との整合性などもあって簡単ではなく、実務を担う官僚の協力を得なければ公約の政策化は難しい。だが、トランプ氏は抵抗する官僚を排除することで、主張を政策化している。
米国と張り合う大国となった中国では、習近平氏が絶大な権力を手にしているように見える。中国の政策に習氏の個性がどれだけ反映しているのか定かではなく、近年の中国の行動や政策が習氏にどれだけ引っ張られているのかも定かではないが、米国と中国が共に強力な指導者を要していることは確かだ。
しかし、この2人が手にしている権力の正当性には大きな違いがある。トランプ氏は選挙に勝って大統領に就任したが、習氏は独裁する中国共産党内で選ばれただけだ。中国で、投票も立候補も自由な選挙を行ってみても、習氏が人々から中国の最高権力者に選ばれるかどうかは不明だ。
習氏の権力には正当性がなく、トランプ氏の権力には正当性があるが、大統領にふさわしい人物かとの疑念がつきまとっている。2人とも権力者として強力さと不安定さが共存するが、外交や通商などで対外的には強く対応することは共通する。つまり、不安定さは対内的なものだ。
既存の欧米主導の秩序は、「外」から中国が異議を唱え、「内」から米国が背を向けることで揺らいでいる。2人の権力者が、強者総取りの世界へ導いていくのか、新しい世界秩序が見えてくるのか、なお混乱が続くのか……この2人に今年も世界は振り回されることになりそうだ。
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