2019年8月に米ニューヨーク州のワトキンス・グレンで、「ウッドストック 50」が開催される。これは1969年に開催された「ウッドストック・フェスティバル」の50周年を記念したもので、3日間の大規模フェスとなる予定だ。
出演者は最近のヒップホップやロック、ポップのバンドやミュージシャンが多いが、1969年に出演したベテランバンドやミュージシャンも参加する。例えば、サンタナ、デビッド・クロスビー、カントリー・ジョー・マクドナルド、キャンド・ヒート、メラニー、ジョン・セバスチャン、ジョン・フォガティら。
大規模フェスに集まる観客の大半はおそらく1969年以降に生まれた人々だろうから、最近の人気バンドやミュージシャンを集めなければ集客は簡単ではなかろう。ウッドストックが伝説として語り継がれているといっても、ウッドストックの再現を期待するファンだけで大規模フェスを成立させることができるはずもない。
企画者の一人であるマイケル・ラング氏はインタビューで「25周年、30周年などで記念イベントを行ったが、お祝いの意味合いが強かった。50周年は1969年に近いイベントにしたい」とする。1969年に近いとは、「もっと政治的なイベントとなる。持続可能な運動につなげるようなコンサートにしたい」。
別のインタビューでは、「単にコンサートが行われる以上のことにしたい。人々が立ち上がり、声を上げ、投票へと向かわせるこの試みに多くのバンドが参加してくれることを願っている。もし自分の感じていることを体現してくれる候補者がいないのであれば、そうした人物を探す、ないしは、自分自身が出馬してほしい」と、政治的な意味づけをしている。
1969年のウッドストックは、ベトナム反戦、反体制、ラブ&ピースなどの言葉とともに語り継がれている。想定以上の人々が集まり、雨が降り、トラブルもあったが、観客の間に連帯感が生まれたと参加者は言う。音楽を聴きに集まった若者たちの間で、分裂ではなく、助け合いや共存の感覚が生じたのだとすれば、現在の米国で「再現」を目指す気持ちは理解できる。
だが、結果として生じたことと、意図的に生じさせることとの違いは大きい。社会的・政治的メッセージを発するイベントにしたいと企画しても、現在の商業化された大規模イベントは様々なトラブルに備えて万全な準備が整えられるであろうから、観客の間に連帯感が生まれる余地があるか定かではなく、単なる音楽イベントで終わるかもしれない。
主催者の意図通りに観客が思考し、行動する必要も義務もない。予期せぬ偶然が重なって新たな伝説が生まれるかもしれないが、それは50年前の伝説とは違ったものになるだろう。観客は音楽を楽しめばいい。音楽が多くの人々を集め、音楽が人々の情感に働きかけ、開放的にする力があることを確認、共有するだけでも意味がある。
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