米国で現代金融理論(MMT=Modern Monetary Theory)が議論を呼んでいるそうだ。これは、独自の自国通貨を持っている国の政府は、通貨を限度なく発行することができ、債務返済が滞ってもデフォルトに陥ることはなく、政府債務残高が増加しても問題はないとする考えだ。
政府債務残高の増加でデフォルトした国はアルゼンチンなど実際に存在するが、そうした国家と米国は異なるとする。アルゼンチンなどは信用低下から貨幣価値が暴落し、資本が流出、金利が高止まりして債務返済が困難になって破綻した。
だが米国のドルは基軸通貨であり、米国の債券は各国政府など世界の投資家が購入するので信用は保たれており、米国がドル発行を増やしても財政破綻は起きないとする。インフレが起きないとの条件付きだが、米国政府債務の増加は問題ないとし、政府支出の拡大で諸施策を推進すべきとする。
米国政府の債務残高はこの2月に22兆ドル(約2400兆円)を突破した。トランプ政権が実施した大型減税で税収が大幅に落ち込み、財政赤字を賄うために国債発行が増えている。MMTが実際に行われているとも見えるが、実はMMTを主張しているのは民主党サイドで、財政出動により国民皆医療保険や温暖化対策を推進すべきとする。
このMMTは、米国ドルが将来も世界で基軸通貨として流通するという前提で成り立っているようだ。確かにユーロも円も元も米国ドルに代わって基軸通貨になることはできていない。だが、米国ドルが基軸通貨であること=米国への信用、ではない。交換価値の媒介物として世界で多くの人が米国ドルを使用しているから、他の人も使用しているだけかもしれない。
交換価値の媒介物であるためには、それ自身の価値が安定しており、大きく変動しないことが必要だ。例えていえば、長さを図る定規の目盛りが時によって変わるようならば定規として信用されなくなる。米国政府が望むままに米国ドルを際限なく発行し始めても、米国ドルや米国政府に対する信用が保たれるかどうかは未知数だ。
通貨を際限なく発行することは、交換価値を際限なく創造することである。通貨を際限なく発行して社会が整備され皆が豊かになるのなら慶祝のいたりだが、世界ではハイパーインフレーションが繰り返されてきた。実体経済をはるかに上回るマネーが世界には溢れているというのでMMTにより、行き場のないマネーが米国ドルに吸収されるかもしれない。だが、そうしたマネーは逃げ足が早い。
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