2019年3月6日水曜日

問題意識を共有できるか

 韓国の外相が国連人権理事会で、旧日本軍の従軍慰安婦問題に言及し、紛争下での女性への性暴力に関する国際会議を今年後半に開催するとした。最近も世界の紛争地で女性に対する性暴力が問題視されているので、国際会議を開催するとの韓国外相の提案は国際的な賛同を得るかもしれない。

 いつまでも韓国が従軍慰安婦問題を提起し続けることは、日本に対する執拗で攻撃的な外交だと日本国内では受け取られているが、韓国にとっては①韓国は「被害者」であると主張し、②道義性で日本に圧力を加えて優位な立場に立ちつつ、③国際社会で韓国の存在感と「正しさ」をアピールする、ための格好なカードであろうから手放すことはないだろう。

 国際会議開催の提案は、紛争下での女性への性暴力が旧日本軍だけの特殊な問題だとの認識から、昔も今も世界で多く起きている問題だと問題意識が変化したことを示すと見える。従軍慰安婦は紛争下での女性への性暴力の一部で、普遍的な問題だと韓国が認識するようになったことを意味するなら、きっと国際会議で韓国軍の過去の紛争下での女性への性暴力問題も並べて提起するだろう。

 だが、これまで韓国は「歴史問題」で独自の「正義」を振りかざして日本を一方的に批判し続けてきただけに、韓国の独自の「正義」に疑念をもたらし、揺るがしかねない行動を行うだろうか。韓国の「正義」とは特殊(個別)なものであった。普遍性を意識するように韓国が変化したなら歓迎すべきだが、国際会議が韓国の「正義」を拡散する目的ならば普遍性は伴わない。

 特殊(個別)と普遍を区別することは、従軍慰安婦問題に新しい光を当てる。旧日本軍だけが引き起こした特殊な問題だとして韓国などは日本の責任を問い続けてきたが、紛争下での女性への性暴力という普遍的な問題だと認識するなら、日本だけを批判して済む問題ではなくなる。別の言い方をすると、問題を普遍化しなければ国際会議を開催する意味がない。

 日本は北朝鮮による日本人拉致問題を特殊(個別)な問題だと国際社会に提起している。だが、これを国家権力による民間人の拉致問題と見るなら、北朝鮮のほかにも強権的な政府による自国民など民間人拉致は昔から世界で起きていた。北朝鮮の日本人拉致を、国家権力による民間人に対する不当な暴力と普遍化するなら、国際社会に対する発信力は大きくなっただろうし、各国の拉致被害者の家族と広く連携できたかもしれない。

 問題があるときに、それを特殊(個別)とするよりも普遍と位置付けたほうが、問題意識を世界で共有しやすいだろう。普遍化するためには、問題の構造を見いだす必要がある。だが韓国が従軍慰安婦問題から、どんな普遍性を引き出すのか定かではない。普遍を掲げながら、実は韓国独自の「普遍」でしかない可能性も想定される。

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