2019年3月13日水曜日

変装の効果

 官憲の厳しい監視下にあった大杉栄は1923年1月、夜泣きの屋台に変装した同志と入れ替わり脱出に成功、東京駅から上海を経てフランスに着いた。国際無政府主義者大会に出席するためだったが、大会は延期を繰り返し、大杉はパリのメーデー集会で演説した後、警察に逮捕され、日本に強制送還された。

 かつての日本は大杉栄ら国家に対する「反逆者」を厳しく監視し、現代でも中国などでは「反逆者」を厳しく監視しているという。「反逆者」とされた側が自由に行動しようとするなら監視の目をごまかさなければならず、変装するのは重要な抵抗手段だ。

 変装は場合によって肯定的にも否定的にも解釈される。自由な政治活動を続けるための変装もあれば、犯罪に関連して身元を隠すための変装、マスコミなどの好奇の目を避けるための変装など様々だ。もちろん趣味として変装することだって、周囲に害を及ぼしていない限りは個人の自由だろう。

 変装の目的は、別人を装って正体を隠すことにある。当人の日常とは関係がないような服装に変え、顔をマスクやサングラス、大きな帽子などで隠したり、化粧を施し、風貌を変えて見分けにくくする。さらには、片足を引きずって歩いたりして動作を偽装したり、性別まで偽装できたなら変装の上級者だろう。

 変装の有力な方法は、何かの職業人になりすますことだ。制服か制服めいたものがある職業ほど、そうした服装をまとえば偽装しやすい。こうした職業人になりすます利点は、服装を変えるだけで大きな効果があることだ。だから、何かの職業人の制服をまとって更に顔をマスクやサングラスなどで隠したりすると逆に周囲の印象に残ったりする。

 何かの職業人になりすまして周囲に不審を抱かせないためには、場所が重要だ。コックの格好で街中を歩いたり、駅員の格好をして盛り場にいたりすれば逆に目立つ。何かの職業人にはそれぞれふさわしい場所があり、建物の出入りにしても、正門を使うか通用門を使うかで変装の効果は異なる。

 何かの職業人の服装をまとって、同じ格好をした人たちと一緒にいれば変装の効果は高まる。だが、周囲に融けこむことを狙って作業員に変装しながら、警備の人に厳重に囲まれて、正門から出てくるようでは逆に目立ってしまい、注目してくださいと言っているのと同じだ。変装に失敗して目立ってしまっては、笑いのネタだ。

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