中国での新しいビジネスだと一時は日本でも盛んに肯定的に報道されたシェアサイクル。自転車を街中に散らばして置いておくだけで儲かると企業が群がって参入したが、過当競争が激化して安値競争になり、撤退する企業が相次ぐという。街中には、一部が壊れた自転車が大量に放置されているとも伝えられる。
安値競争になるのは、儲かりそうだと多くの企業が参入して「供給」が一気に増えるが、「需要」はそう簡単には大きく増えないため、需要を奪い合って互いに価格を引き下げるから。儲けることだけが目的で、技術やノウハウは買えばいいと新規に参入した企業は、儲からないとなれば見極めは早い。
シェアサイクル事業は、シェアビジネスの可能性をわかりやすく提示したし、シェアサイクルは都市における個人の有力な移動手段になりうるだろう。だから、中国でのシェアサイクル事業の盛衰で①都市におけるシェアサイクルの適正な設置数と配置、②放置されたシェアサイクルの回収・整備・再配備などの課題が明らかになったと見るなら、今後の各国でのシェアサイクル事業の参考になる。
なぜ中国でシェアサイクルビジネスが一気に盛り上がり、一気にしぼんだのか。群がって参入した企業には、おそらく市場を育てるという感覚が欠如していたし、儲けることだけが目的だから、そのビジネスに対する理念めいたものは希薄だったろう。例えるなら、果樹や作物があると聞いた場所に刈り取りに殺到するだけで、種を撒いて育てることをしない。
これは中国の企業行動の典型のようにも見える。自由な企業活動の歴史が浅く、まだ企業活動に様々な政治からの制約がある中国で、相応に資金を持った企業や投資家が、儲けることだけを目的とすることや、素早い市場参入と撤退を繰り返すことは中国では合理的な行動だろう。経済成長とともに中国企業の資金力も膨れ上がっているので、同様の企業行動は今後も続こう。
こうしたビジネスは「焼銭」モデルと呼ばれているそうだ。中国の事情に詳しいジャーナリストによると、最初は「巨額の赤字を許容して広告や割引サービスに積極投資し、ユーザーの拡大」を狙い、やがて「市場で支配的な地位を築けば巨額の利益が得られるとの論理」。つまり、勝者総取りを目指して、競争相手を駆逐するために赤字を撒き散らすビジネス。
「焼銭」モデルに不在なのがユーザー(消費者)視点だ。ユーザー(消費者)は収奪の対象でしかなく、事業は企業が儲けるための仕組みでしかない。欧米などの資本主義国よりも中国のユーザー(消費者)が資本の収奪に晒されている現実は、国家資本主義に転じた中国のいびつさを示している。
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