新幹線と飛行機の選択において「4時間の壁」が存在するとされる。新幹線の所用時間が4時間を超える区間では飛行機を選ぶ利用者が増え、4時間を切ると新幹線の利用者が増えるそうだ。東京~広島間で所要時間を4時間に短縮した新幹線を増やしたところ、飛行機より新幹線の利用者が増えたという。
ただし、「4時間の壁」の存在が検証されたわけではなく、厳密な定義があるわけでもない。例えば、4時間は新幹線では乗車時間のみだが、飛行機では、自宅から空港への移動時間や到着地での空港〜駅間の移動時間を含むなど、4時間に含む行動範囲が広くなる。
「4時間の壁」が広まったのは北海道新幹線の開業の前後だった。東京―新函館北斗間が最短でも4時間を上回ることから、東京からの乗車率は高くないだろうとの論調が多く、貨物列車と共有する青函トンネルでは最高速度が在来線と同じに抑えられることが課題として指摘された。
この3月、北海道新幹線の東京―新函館北斗間の所要時間は4分短縮され、最短で3時間58分になった。青函トンネルを含む貨物列車との共用区間で最高速度を20キロ引き上げ、時速160キロにしたことで4時間の壁を打ち破った。この速度でも貨物列車とのすれ違いでは安全が保たれるという。
「4時間の壁」を僅かに突き破ったわけだが、これで東京から函館へ向かう新幹線利用者が一気に増えるかどうかは定かではない。数分短縮されたといっても、従来の所要時間と大差ないのだから利用者にとっては、状況が変わったというより状況は同じままだという実感か。
移動に要する時間は、短ければ短いほどいいというのが一般の感覚だろう。商用でも私用でも旅行でも移動は目的地に到着するための途中段階にすぎず、移動の時間を楽しむのは鉄道や飛行機などのファンだけかもしれない。鉄道ファンにとって新幹線内での4時間は長くはないが、鉄道に興味がない人にとって座っているだけの4時間は長い。
長距離移動においては基本的に飛行機に優位性がある。新幹線が選ばれるためには、移動の時間の価値を高める必要があるが、過度な演出は商用などでの利用者にとって邪魔だろうから、限度がある。新幹線を利用する移動に、どのような付加価値を加えるかがぼやけているところに「壁」があるのかもしれない。
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