2026年4月4日土曜日

多すぎる情報

 米トランプ大統領は4月1日、演説で「対イラン軍事作戦の戦略目標は達成に近づいている」「戦闘で圧倒的な勝利を収め、イランの海軍と空軍を壊滅させた」「今後2~3週間にわたってイランを容赦なく攻撃する」「イランを彼らにふさわしい石器時代に戻す」などと述べた。

 イラン攻撃の終結に向けての言及はなく、失望売りで株価が下げ、原油先物は買い進まれて大幅高となった。この演説は日本でも各国でも注目された。それは、不確かな戦略目的のままで始めたイラン攻撃が長引き、原油相場が上昇して米国内でもガソリン価格が上昇し、米国民の生活にも負担と影響が現れている状況に、「気まぐれ」なトランプ氏が一方的に戦闘終結に向けて示唆するとの観測があったからだ。

 トランプ氏の連日の発言やSNSコメントには首尾一貫性が希薄だが、日本や世界のマスメディアはその都度、大きく報じる。各国に高い関税を一方的に課したり、ベネズエラやイランに対する軍事行動を発動させたりと、トランプ政権は世界的な不安定要素となっているのだから各国のマスメディアがトランプ氏の発言を大きく報じるのは当然でもあるが、日本を含め世界のマスメディアはトランプ氏の発言に振り回されている状況でもある。

 トランプ氏は2期目の大統領就任以来、大量の大統領令を発出し、政治の主導権を維持し続けてきた。これは「Flood Zone」戦略とされ、大統領や政権側から大量の情報を毎日、発信することで野党民主党は対応しきれず、マスメディアも大量の情報に圧倒され、検証や批判が追いつかず、結果として大統領や政権側からの大半の情報に対する批判や検証がなされずに、そのまま流通することを目指すものだ。

 それが現実となった。さらにトランプ氏は曖昧かつブレるSNSコメントを連日発信することで、何を信じていいのか判断がつかない状況をつくり出し、大量の情報とともに、混乱する状況にもしている。発信源が信頼できない情報はフェイクとも見なされるが、米国の大統領が発する情報をフェイクとすることはできず、各国やマスメディアは振り回される。

 「Flood Zone」戦略は、情報の洪水を狙って引き起こすことで野党民主党やマスメディアの批判を稀薄化させる成果を得た。トランプ氏の言動を批判すると、痛烈かつ時には礼儀をわきまえない個人攻撃を招くことから、野党民主党もマスメディアも諸外国も及び腰となり、多くはトランプ氏からの「直撃」を避けて、「あと3年の辛抱だ」と沈黙する。

 トランプ氏の発言やSNSコメントを大きく報じるマスメディアの構造的な欠陥も明らかになった。トランプ氏が発言したという事実を確認して、その発言内容をマスメディアは大きく報じるが、発言内容の真贋にはマスメディアは責任を持たない。トランンプ氏がウソを言ったとしても、それをマスメディアは報じる(発言があったことを確認して)。それはマスメディアという媒体がウソを検証できず、広めることに加担していることを示す。

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