宇宙で最も暗いのはブラックホールだとされる。太陽よりもはるかに巨大な恒星が超新星爆発を起こした時に、凄まじい圧力により中心部が収縮を始め、やがて角砂糖1個分の重さが200億トンを超えるほどになり、重力が強くなりすぎて光さえも閉じ込めてしまう。
何かが人間に見えているという状態は、何かから放射された光か、何かに当たった光が反射して人間の目に届いているからだ。光には多くの色が含まれているが、全部の色を反射した物体は白く見え、全部の光を吸収した物体は黒く見える。赤く見える場合は、赤い色の光だけが反射して、赤い色以外の光は吸収されている。
何かに当たって反射した光の色を、そのものの色と人間は認識する。だから、色が実在するのか、光の反射の違いだけが実在するのか、という問いも生まれる。世界に色があるのか、明暗だけがあるのか。世界を白黒で見ている動物がいるというから、色の識別は人間の目の機能とも関連していることになる。
黒い色は日常にありふれているが、その黒さの度合いは黒っぽいものから真っ黒に見えるものまで、まちまちだ。光を全て吸収する物質は存在しないとされるが、光を閉じ込めてしまうブラックホールだから、その黒は別格で本当の黒であり、本当の闇だ。光が出てこないのでブラックホールを人間の目では見ることができない。
ブラックホールの周囲にある降着円盤(水素プラズマのガス円盤)は、宇宙で最も明るいとされる。激しく回転する円盤ではガス同士の摩擦熱により膨大なエネルギーが生じ、X線やガンマ線など電磁波が放射される。見えないブラックホールは、周囲の降着円盤を観測することで存在が確認される。
日米欧などの国際研究チームが世界各地にある電波望遠鏡の観測データから解析した画像を公開した。人類は初めてブラックホールの撮影に成功したとされる。これは、地球から約5500万光年の距離にある楕円銀河「M87」の中心にある巨大ブラックホールで、その半径は約200億キロ(太陽系を上回る)、質量は太陽の65億倍という巨大なものだ。
光が出てこないので人間の目には見えず宇宙で最も暗いブラックホールが、宇宙で最も輝いている降着円盤に囲まれている。見えないはずが、シルエットが降着円盤を背景に浮かび上がった。見えないものでも、その存在が映像化され、確かめられたのは、宇宙での壮大な「影絵」だ。
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