2025年1月1日水曜日

生命のリレー

  世界で昨年、数万人以上の人間が殺された地域はウクライナとイスラエル周辺だ。戦火が止む気配は希薄で、今年も多数の人間が殺されることになりそうだ。昨年も世界各地で事故や災害などで多くの人間が死亡し、今年も同様に多くの人間が事故や災害で死亡するだろう。1人の人間の死は太古から数十億年にわたり繋がれてきた1つの生命の消滅である。

 地球で初めての生命は約38億年前に海の中で誕生し、やがてバクテリアが現れ、光合成を行って酸素を出すようになり、20億〜25億年前には大気中に酸素が蓄積して増えた。約4億年前に植物が海から陸にあがり、昆虫や両生類が続いた。約3億年前に爬虫類、約2億年前に恐竜や哺乳類が現れ、約500万年前に人類の祖先が登場した-と考えられている。

 生きている人間は、単細胞生物から植物や魚類、様々な動物など形態を変えながら続いてきた生命のリレーの中にいる。人間は人間の両親から生まれ、植物は植物から、動物は動物から、バクテリアはバクテリアからと子孫をつないで行くように様々な生命体に分かれている今では、生命のリレーを実感することはないだろうが、人類が登場するまでに膨大な時間がかかっている。

 約500万年前の人類の祖先と現在の人間が異なるように、地球上に現れた過去の植物や動物と現在の植物や動物は異なる。それぞれに独自の進化を続けた結果として現在の植物や動物、そして人間がある。地球上にある膨大な生命は多彩な外観をし、様々な生き方をしているが、それらは系統樹によって生命の流れの中にいることが示される。

 約38億年前に誕生した生命の一つの遺伝子が受け継がれながら進化し、海から陸へと生息環境を変えて更に進化を繰り返し、やがて1人の人間となった。1人の人間の存在は貴重であり、理不尽に生命が奪われてはならないはずだが、人類の歴史を振り返ると、世界各地で殺しあってきた。人権の尊重という概念を人間が持つようになった18世紀以降も人間は殺しあい、今も殺しあっている。

 生命史を振り返ると、魚類や昆虫、両生類、爬虫類、哺乳類などは他の生命を捕食することで生命をつないできた。そうした捕食は生命のリレーには欠かせないものであるのだが、ウクライナやイスラエル周辺で行われている大量の殺害はロシアやイスラエルの国家権力の決定により行われているもので、死傷者を増やすことを容認しており、それは生命のリレーと無関係だ。

 膨大に存在する様々な生命には増殖するものがあり、衰退し、絶滅するものがある。80億人以上へと増えた人類が衰退するとすれば、各国が核兵器を大量使用する第3次大戦が起きた場合だろう。おそらく大量に核兵器が世界で使用されたとしても、生命史が絶たれることはないだろうが、人類の歴史は激変する。人間の生命のリレーに対する最大の脅威が国家の存在であると見なされるようになるかもしれない。

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