オーストリア=ハンガリー帝国に併合されていたボスニアのサラエボで1914年6月、皇位継承者フェルディナント大公をセルビア人のプリンツィプが射殺した。オーストリア=ハンガリー帝国はプリンツィプの背後に大セルビア主義の民族団体とセルビア政府がいるとして同年7月にセルビアに宣戦布告し、戦争が始まった。
当時の欧州では「この戦争は短期間で終わる」と見ていた人が多かったと言われるが、参戦する国が増えた。同年8月にセルビアを支援するロシア帝国が参戦するとドイツ帝国がロシア帝国に宣戦布告、フランスとイギリスはドイツ帝国に宣戦布告(日本もドイツ帝国に宣戦布告。米国は中立を宣言)し、ドイツ・オーストリアの同盟国とロシア帝国・フランス・イギリスの協商国との戦争に拡大、世界の各国植民地にも戦火は広がった。
9月にはイギリス・ロシア帝国・フランスがオスマン帝国に宣戦布告し、1915年5月にイタリアがオーストリア=ハンガリー帝国に宣戦布告した。1917年3月に革命でロシアの帝政が崩壊し、同年4月には米国がドイツ帝国に宣戦布告して参戦、1918年11月にオーストリア=ハンガリー帝国が単独休戦、ドイツ帝国では革命で帝政が崩壊し、休戦協定が調印され、4年半に渡った第一次世界大戦は終結した。
参戦した主な国は同盟国ではオーストリア=ハンガリー帝国、ドイツ帝国、オスマン帝国、ブルガリア、連合国側ではフランス、イギリス、ロシア帝国、セルビア、モンテネグロ、ルーマニア、ギリシャ、イタリア、米国、日本などで、当時はイギリスの自治領だったカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカやインドも派兵した。
オーストリア=ハンガリー帝国とセルビアの戦争に各国が参戦して、世界大戦へと拡大、長期化した。当時は帝国主義の時代で、各国は世界で植民地支配を巡って対立し、衝突を繰り返していた。領土や植民地を拡大するための「参戦のハードル」が低い時代だったから、欧州内で戦争が始まると、乾燥しきった原野に火が投じられたように戦火は一気に広がった。
帝国主義が否定的に見られる現在だが、ロシアはウクライナを支配しようと戦争を仕掛け、イスラエルは自国の安全を確保することを掲げて、パレスチナや周辺国での支配地を増やすために軍事行動を続ける。両国とも、領土拡大を目指す帝国主義的な行動だと解釈でき、世界を不安定にしているが、二つの戦争に参戦する国が現れないことで、どうにか戦火が拡大することは免れている。
権威主義国と民主主義国の対立が目立つ現在だが、権威主義陣営も民主主義陣営も堅固な同盟関係にはなく、まとまってはいない。自国の利益を最優先して「仲良く」しているのが実情で、対立には一定の抑制が働いている。とはいえ、グリーンランド領有などを主張するトランプ氏ら、領土拡大を掲げる強権的指導者が各国に相次いで現れている現状は、帝国主義の復活の気配が漂う。
0 件のコメント:
コメントを投稿