1917年にロシアで革命により皇帝が退位し、1922年にロシアを中心としたソビエト社会主義共和国連邦が誕生した。ソ連は多民族からなる連邦で、共産党の1党独裁体制の社会主義国家だった。労働者階級が統治する国家だとされ、資本主義諸国の労働者や労働運動の活動家らの中には「労働者の祖国」とソ連を称する人もいた。
20世紀においてソ連は、資本主義に代わる具体的かつ現実の階級闘争の成功モデルとして世界的な影響力は大きかった。だが、1990年にバルト3国が連邦から分離独立し、1991年にソ連共産党は解党され、やがてソビエト連邦は解体した。階級闘争を正当化する共産主義が影響力を持ったのはソ連などが存在していたからで、ソ連の崩壊後には共産主義の影響力は急速に衰えた。
ソ連が健在だったころ、日本にも世界革命を主張する人々がいた。世界各国で革命を成功させることを夢想し、革命の根拠地を世界に確保しなければならない-などと飛躍して行動したグループもあった。世界を社会主義という1色に塗り替えようとした試みだったが、「万国の労働者よ 団結せよ」も「万国の革命運動よ 団結せよ」もうまくいかず、世界革命論も永久革命論もほぼ消えた。
当時の世界は資本主義諸国と社会主義諸国が対立し、世界で影響力の拡大を競っていた。世界各国で労働者は人口の多数を占めるので、「最大多数の最大幸福」を求めるなら、労働者の利益を優先した政策が行われるべきだろう。だが、社会主義国では党や個人の独裁統治が行われ、資本主義諸国のほうが経済成長し、人々が豊かな暮らしを享受していたのが現実だった。
社会主義国は現在も中国などが存在しているが、社会主義色は希薄となり、その国家体制が「労働者の祖国」などと憧れをもって見られることはない。最近では権威主義体制の国家と見られ、民主主義との対立が強調される。経済成長した中国や、強大な軍事力で領土を広げるロシアが権威主義体制の「成功例」であると見なす諸国もあるようで、影響力を持っている。
民主主義は「人民が主権を持ち、人民の意思をもとにして政治を行う主義」であり、政党や個人が実質的に独裁するなど権力が一部に集中する権威主義とは国家主権のあり方が異なる。皇帝や王侯貴族の専制支配を打倒して民主主義が欧州で広がり、やがて世界にも広がったが、世界は民主主義1色に染められることはなく、かつての皇帝や王侯貴族の専制支配を想起させる権威主義が存在感を増している。
欧米の論調に強く影響される日本では、民主主義は普遍的な価値観とされるが、中国の台頭やロシア、イスラエルの領土拡張を目指す軍事行動に歯止めをかけることができない世界で、民主主義は相対的な価値観になり、「そういう考えもあるんだね」程度の扱いになっていくのかもしれない。それは、権威主義が諸国の現実的な選択肢になっている世界の現実を反映している。
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