2025年6月14日土曜日

希薄になった存在感

 かつて日本企業は、造船、鉄鋼、家電製品、半導体(メモリー)、自動車など世界市場で大きな存在感を示していた。だが、次々と韓国企業にシェアを奪われ、ついで中国企業も独自ブランドで世界への輸出を始め、自動車を除いて日本企業の存在感は希薄になった。自動車でもBYDなど中国企業の世界市場における存在感が高まっている。

 金融でも、かつて日本の銀行は時価総額で世界のトップ10に名を連ねていたが、今ではGAFAをはじめとする米国企業が上位に名を連ね、中国企業の名も散見されるようになった(じゃぶじゃぶと積み上がったマネーが米国などの株式市場に流れ込んでいることは勘案しなければならないが、日本が積み上がった世界のマネーの取り込みに遅れていることの反映でもある)。

 とはいえ、iPhoneに大量の日本企業の部品が使われ、半導体の製造過程で日本企業の素材や製造装置が不可欠であることなど日本企業の国際競争力が保たれている分野もあり、世界市場を相手に商売できる日本企業は数多いのだろうが、消費者の手に渡る商品という、直接見ることができる製品で日本企業の存在感が希薄になっているのは否めない。

 海外にもファンが多いというスタジオジブリが大幅な増益を達成するなど好調で、日本のアニメや漫画が世界を席巻しているかのように報じられ、日本に対する興味を高め、親近感をも高めているかもしれない。だが、それらが潤沢な利益を世界から日本にもたらしていると報じられることはない。音楽や映画などでは単発の「成功」があるだけだ。

 太陽光パネルやリチウム電池など日本企業が先駆けて製品化に成功した分野でも韓国企業や中国企業の後塵を拝するようになり、かつてソニーやホンダなど日本企業が技術開発の成果を次々とアピールしていた人型ロボットは現在、米中の企業の開発競争が激しくなっているとされ、日本企業の存在は見えなくなった。

 後発国が先進国の技術などを取り入れ、低い人件費など低コストによって低価格の類似製品を製造し、先進国など世界市場でシェアを伸ばすのは日本企業もたどってきた道だ。韓国企業や中国企業などが成長し、日本企業のシェアを奪うのは歴史的には自然な現象だろう。問題は、日本企業が経済構造の変化に対応できず、情報化経済の波に乗り遅れたことだ。

 SNSで日本企業の存在感はなきに等しく、ネットを介した各種サービスも外国企業の成功事例を追って国内で展開しているだけだ。世界で売れる商品・サービスを作ることができなくなった日本企業だが、人口減少で日本国内市場は先細りであるのだから、世界市場を相手にするしか成長の道筋は見えない。内部留保を積み上げて安心・満足している各企業の経営陣が総退陣した後に、日本企業の世界市場での活躍が再び始まる(と期待したい)。

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