ポーランド軍は9月10日、ロシアの19機のドローンが領空を侵犯し、3機を撃墜したと発表した。大半はベラルーシ側から侵入し、国境から約400km離れた地点にも到達していたという。NATOの領空内でロシアのドローンが撃墜されるのは初めてで、ポーランドの首相は「大規模な挑発行為だ」とロシアを非難した。13日にはルーマニアの領空をロシアのドローンが侵犯した。
ポーランドの要請を受けてNATO加盟国は緊急協議を開催したほか、仏マクロン大統領は「ロシアを最も強い言葉で非難する」とし、「無謀なエスカレーション」をやめるよう求め、米NATO大使は「NATOの領土を1インチたりとも譲らず守り抜く」、
国連のグテーレス事務総長は「拡大する現実的なリスクを浮き彫りにした」と強い懸念を示した。
ロシア国防省は「ポーランド領内を目標とする計画はなかった」とし、ウクライナへの大規模攻撃を実施した際に起きた可能性があると主張したそうだ。ロシアはウクライナに大規模なドローン攻撃を続けているが、その一部が誤ってポーランド領空に入ってしまったという説明だが、コントロールのミスか、機体に問題があったのかなど詳細な説明はない。
NATOの反応を見るためのポーランド領空侵犯だったとしてもロシアが認めるはずがなく、単純なミスによるものだとの主張を続けるだろう。しかし、ポーランドをはじめNATO側はロシアの「真意」を疑う。ロシアに対する不信感が積み上がった現在、ロシアの主張を疑ってかかるのは当然で、軍事が絡むと最悪の事態を想定して対応策を考えるのは当然だ。
ドローンのポーランド領空侵犯は、NATOの対応を見るためだったのか、ミスだったのか、挑発だったのか。いずれにしても、NATOの緊張をロシアは注視し、ドローンの侵入に対してNATO諸国がどのように反応・対応したのかを見定めていただろう。意図的な領空侵犯ではなかったとしても、ロシアは今回、NATO側の防空体制に関する貴重なデータを収集することができた。
ポーランドは襲来するロシアのドローンの半分も撃ち落とすことができなかった。もしドローンが爆弾を抱えていたならばポーランドは相応の被害をこうむっていたに違いない。ロシアにはウクライナ以外に戦線を広げる余裕はないと見られるが、ポーランドの領空侵犯に対する反応でNATOは、防空体制が「甘い」とロシアに隙を見せてしまったことは確かだ。
米国抜きでウクライナを支えることができないNATOには、挑発されたとしても、ロシアと交戦する余力はない。ロシアの侵攻をウクライナ国内にとどめ、ロシアの勝利を妨げることが現在のNATOにできることだ。ロシアはNATOの足元の危うさを見越し、今後もNATOの揺さぶりを続けるだろう。
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