自民党は今年の参院選で39議席を獲得したが、連立を組む公明党の8議席と合わせても計47議席で、非改選の75議席と合わせて122議席となり過半数(125)割れとなった。自民党は総括文書で主な敗因を▽内閣支持率の低迷▽縮んだ自民党支持層を固めきれなかった▽無党派層への訴求力不足▽若年層・現役世代と一部保守層の流出などとし、「解党的出直しに取り組む」とした。
自民党は2024年の衆院選でも56議席減の191議席で、公明党の24議席と合わせて215議席となり、過半数(233)を割っていた。派閥の裏金問題で毅然とした対応を示すことができなかった自民党に対する強い不信感の現れとの見方が多く、ほかに▽組織力の低下▽保守色の強い人たちの離脱▽石破総理に対する不支持-なども指摘された。
自民党が退潮傾向にあることが最近の国政選挙で示されたのだが、具体的な「解党的出直し」の動きはまだ見えない。従来の支持者の高齢化と若者の参加が少ないことで地方組織が弱体化しているのは既成各党に共通するだろうが、自民党の場合、各地で自民党候補の選挙を熱心に手伝っていた旧統一教会の信者が離れ、その影響が無視できないとの真偽定かならぬ説もある。
自民党の総裁選が行われている。どのような「解党的出直し」を行うのかを候補者たちが語る機会だが、候補者たちは政策を闘わせている。自民党の新しい総裁が次の首相に選ばれる可能性は高く、各自が政策を語って独自性を示すのは当然のように見えるが、場違いな主張だ。総裁選で候補者が真っ先に語るべきは、党をどう改革するかだ。党を改革しなければならないと本気で考えているなら総裁選は絶好の機会だったが、候補者たちは自民党の「解党的出直し」に関心が乏しく、政策を語る。
報道によると、公開討論会で候補者たちは物価高対策をはじめとする経済政策や成長戦略、社会保障制度改革、外交・安全保障政策などを巡り幅広く論戦を交わしたという。具体的には、「頑張れば報われるという実感を持ってもらう」とか「国民の求める結果を出す」「暗い状況を一致団結して乗り越えていく」「将来の財源を生む投資を重視する」「日韓関係を深化させていく」「戦略的な危機管理投資で経済成長」「物価高対策としてガソリンの暫定税率を廃止」などだ。
自民党は参院選の公約として、強い経済・豊かな暮らし・揺るぎない日本の3ビジョンを掲げ、5アクションを①強い経済・伸びる賃金、②安全が安心を生む暮らし・「ひと」が中心の社会、③地方を元気に・日本を元気に、④国を守り・世界で輝く、⑤憲法改正と不断の改革で・国のかたちを国民の手で-とした。どれも抽象的かつキャッチコピーの類だ。党としての具体的な政策を明確にせず、政策の優先順位も示していないので、総裁選の候補者はそれぞれ独自の政策を主張できるのだ。
候補者が「解党的出直し」の道筋を示さないのは、次の首相を争っているとの意識しか持たないからだろう。また、「解党的出直し」などは本気で考えておらず、今は自民党に対する向かい風が強いが、そのうち風向きが変われば自民党はまた選挙で勝つなどと考えているのかもしれない。そうなるかもしれないし、そうはならず、自民党の退潮傾向は構造的なもので、長期政権の「終わりの始まり」かもしれない。いずれにしても、危機感が薄いトップが率いる組織が変化に弱かった例は珍しくない。
0 件のコメント:
コメントを投稿