複数の男性が歌い踊るアイドルグループが増殖していて、大半が女性だろうファンには、それぞれに「推し」がいるのだという。「推し」とは自分が好む特定のメンバーのことだが、「推し」を応援するために、グッズを大量に買ったり、各地でのコンサートに出向いたりする。「推し」が属するグループを応援することも「推す」活動になるという。
複数の男性にグループを組ませることで確実にファンの数は増える。1人のタレントを売り込むより、複数の男性によるグループのほうがメンバー各自にファンがついて売り込みやすいだろう。旧ジャニーズ事務所の男性アイドルグループのように、グループとしての人気が確立し、メンバーにそれぞれファンがついてから、メンバーのソロ活動を増やせば、タレント事務所の商売の幅は広がる。
メンバーが自発的に集まって組んだグループではなく、芸能プロが組ませたグループだから、メンバーのソロ活動(切り売り)が活発化すれば、グループは活動休止になる。芸能プロがつくり上げたグループだから、メンバーにも音楽活動を続ける意欲は薄く、そもそも自分たちで曲を作ったりもしない(できない)のだから、グループとしての音楽活動は休止する。
熱心なファンがアイドル歌手のポスターや写真などを集めたり、各地のコンサートに集まるなどの行為は以前から行われていた。「推し」は珍しくない行為だといえるが、昨今はアイドルグループのコンサート会場にはグッズ販売場が併設され、グッズ販売が大規模ビジネス化している。熱心なファンによる「推し」活動は芸能プロなどにとっては直接の収益源となった。
「推し」という言葉が広まったのは、AKB48のファンからだという。大勢いるメンバーの誰かを好きになったファンが「自分の推しは@@だ」などと言い、それが広まったとされる。複数の女性によるグループや複数の男性によるグループが増殖して、グループのそれぞれのメンバーにファンがついて「推し」が広がったようだ。
とはいえ、ファンは移り気だ。次から次とアイドルグループが増殖し、大好きだったメンバーよりも新たな「推し」を見いだし、そっちに夢中になったりする。「推し」はファンによる自発的な行為なので、誰を推そうとファンの勝手だ。かつてミーハーと呼ばれた人は「流行に左右されて話題のモノや人にすぐに飛びつく」などと軽薄だと見られたが、「推し」もミーハーも流行に乗ることでは同類だ。
ミーハーより「推し」活動を行うファンのほうが対象に対する忠誠心が強いようにも見受けられるが、好きだという感情が強く働いている時には、好きだという対象に対する忠誠心が強くなるものだ。だから、もっと好きな対象が現れると忠誠心は移っていく。「推し」もミーハーもアイドルやタレントに対する疑似恋愛なんだから、次から次と好きになる対象を増やすこともできよう。直接会ったこともなく話したことがない対象でも、好きな人が多いことは人生を豊かにするだろうから、「推し」にもミーハーにも効用はある。
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