新型コロナ禍でリモートワークが広まったこともあり、人々が過密な状況で暮らしている東京から郊外や地方への移住の動きが増えた。現在でも子育て世帯などの都民の移住願望は根強いとされるが、2024年に東京都への転入は46万1454人(23年より7321人増)、転出は38万2169人(同3679人減)で、7万9285人の転入超過だった。
東京一極集中の勢いは衰えず、逆に加速していた。東京一極集中の是正が必要だとの指摘は珍しくなくなったが、東京一極集中は止まらない。東京だけではなく神奈川県、埼玉県、千葉県でも転入超過となっており、1都3県で13万5843人の転入超過だ(23年比で超過幅は9328人増)。転入の世代別では10代後半から20代前半が多く、進学・就職に伴う動きとされる。
ここから東京一極集中を緩和するには、大学や企業の地方移転を促すことが必要だと見えてくる。だが、大学も企業も東京から離れない。都心立地をアピールして地方から学生を集める大学があり、経済活動が活発な東京から離れることにメリットを見いだすことができない企業も多いのだろう。IT企業なら営業部門以外は地方立地が可能だろうが、東京を離れない。
東京圏への転入超過は新型コロナ禍前と同水準に近づきつつあり、東京圏の転入超過は29年連続だ。男女別では男性6万3784人、女性7万2059人で、女性のほうが8275人多い。地方には大卒女性に魅力ある職場が少ないことに加え、「東京への憧れ」「地元・親元を離れたい」「新しい生活を始めたい」などの動機があるとの調査結果がある。生活を変化させる場として東京が選ばれているようだ。
新幹線網が全国に拡大し、地方空港も増えたので東京が日帰り圏内になった地方は多い。地方に住む人も簡単に東京を訪れることができるようになったので、東京に対する憧れは以前とは変化し、「まだ見ぬ東京」から、具体的に知っていて「住みたい東京」に変化したのだろう。現実感を伴う移住先としての東京が地方に住む人の有力な選択肢となった。
「憧れの東京」が現代でも存在するのは、新しい生活が東京で可能であるとの期待が持続しているからだ。その期待を保証するものはないが、地元や親元から離れて生活することが東京では可能であるとの期待(願望)が支えとなっている。それは、地方で暮らす(生きる)ことの魅力のなさと一体だ。つまり、東京一極集中を支えているのは地方の衰退と、住む人にとって地方の魅力が乏しいことだ。
地方出身者が東京に集まることは、東京が地方出身者の集合であることを示す。憧れの東京は実は多くの地方出身者に支えられている。生粋の江戸っ子は少数派で、東京に住む人の多くが地方出身者であるとすれば、東京は地方の延長線上にある。地方から東京へという人々の流れが続くのは、新しい生活が待っているとの期待と幻想が根強く、また、地方という現実からの逃避の場になっているからだ。
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