2025年3月5日水曜日

高い投票率

 2024年の衆議院選挙の投票率は53.85%だった(戦後3番目の低さ。最も投票率が高かったのは山形県の60.82%、最も低かったのは広島県の48.4%)。1958年には76.99%と過去最高の投票率で、1946年以降は70%を挟んで上下する投票率だったが、1990年の73.31%を最後に投票率は下落傾向となり、2014年には52.66%と過去最低を記録した。

 先ごろ行われたドイツ連邦議会選挙では投票率は82.5%となり、1990年の東西ドイツ統一以降で最高となった(2021年の前回比6.1ポイント上昇。西ドイツ時代の1987年の連邦議会選挙の投票率が84.3%で最高)。ドイツ経済は低迷が続き、移民・難民による殺傷事件が続き、社会不安が高まったことで、政治状況を変える必要があると考える人々(主権者)が投票し、政権交代を実現させた。

 昨年の米国の大統領選の投票率は64.5%、英国の下院の総選挙の投票率は59.9%で前回選の67.3%から大きく低下し、過去2番目に低かった(保守党が政権を失い、労働党が圧勝することが確実視されていた)。フランスの国民議会(下院)の選挙の投票率は66.6%で前回比20ポイント以上増えた。極右とされる国民連合(RN)の政権獲得が現実味を帯び、左派連合への投票が増えた。

 日本の53.8%とドイツの82.5%、その差は28.7ポイントあり、英仏の議会選の投票率よりも日本は低い。投票率の高低は各国の人々(主権者)の政治参加の意思・意欲を反映している。つまり日本の主権者の政治参加意欲は欧米に比べて低い。政治状況は投票によって変えることができると確信できないから日本では、投票しても政治状況は変わらないと多くの主権者が選挙にソッポを向いている様相だ。

 「政治状況を変えるのは我々だ」との意識が主権者に希薄で、自民党政権があまりにも長く続いたことで政権交代に現実味を持てず、政治を自分らが動かすことができるとの「成功体験」がなかったことが影響しているだろう。ドイツでは基幹の自動車産業が揺らぎ、移民・難民の大幅増加で社会が不安定化するなどの社会状況に対する危機感が、政治を変えようとの主権者の意識を高め、投票に向かわせた。

 投票率が低ければ組織票が多い政党の優位が続く。長く政権を担ってきた自民党にとっては投票率が低いほうが組織票の影響が大きくなるので、投票率を高めることは軽視され続けた。そうした中で、自民党を支持しないが野党は頼りないということで「支持政党なし」が増えたが、投票先がないからと棄権が増え、日本で投票率は50%台で推移している。

 「支持政党なし」の人々が選挙に参加し、投票すれば日本の投票率は高くなる。だが、どのような状況になれば彼らが投票に参加するのか不明だ。ドイツのように基幹産業が揺らいで経済低迷が深刻化した時か、フランスのように極右政党の政権獲得が現実化した時か、米国のように扇動政治家に希望を託すしかなくなった時か、それとも彼らは動かないままなのか-状況を変えようという意思に目覚めたなら彼らは投票に向かうだろうが、状況を変えることはできないと思い込んでいるなら彼らは動かない。

0 件のコメント:

コメントを投稿