日本の漁業は「第2次世界大戦後、沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へと漁場を拡大することによって発展」した(水産庁HP。以下同)。「200海里時代が到来し、遠洋漁業の撤退が相次ぐ中、マイワシの漁獲量が急激に増大した結果、漁業・養殖業の生産量は昭和59(1984)年にピークの1282万トン」になったが、「主に沖合漁業によるマイワシの漁獲量の減少の影響により、漁業・養殖業の生産量は平成7(1995)年頃にかけて急速に減少し、その後は緩やかな減少傾向」が続いた。
各国が「200海里水域の設定に踏み切り、我が国の多くの遠洋漁船が米国200海里水域等の既存の漁場から撤退を余儀なくされ、公海域においてもマグロ類を中心に多くの外国漁船が操業を始めたこと等から、国際的な漁業管理が強化され、我が国と条約非加盟国等との競合も激化したため、更に多くの我が国の遠洋漁船が撤退」した。沖合漁業でも生産量は減少し、沿岸漁業も「平成期には総じて漸減傾向」だ。
2023年の漁獲量(養殖含む)は372万4300トンで前年比4.9%減となり、1956年以降での最低を更新した(海の漁獲量は282万3400トン、海の養殖業は84万9000ト)。世界全体の漁獲量は2億2790万トンで、日本は第11位だ(1位は中国で9170万トン、2位はインドネシアで2318万トン、3位はインドで1750万トン)。
各国で水産業は厳格な資源管理や養殖の拡大などにより成長産業となっているが、かつては水産大国とも称された日本では衰退を続けている。「日本の排他的経済水域(EEZ)と領海を合わせた面積は約447万km2で世界第6位、海岸線の長さも約3万5600kmで世界第6位」(内閣府HP)と、日本には水産業に適した環境があるのに水産業は衰退を続けている。
各国が200海里水域の設定を行う以前、日本は世界の海で自由に魚を獲っていた。持続可能性など考慮せず、獲れるだけ獲り、獲れなくなったら漁場を変えて獲り続けた。だが、200海里時代に移行し、日本の漁船は各国のEEZ内で自由に魚を獲ることができなくなり、世界各地で「大量に獲ってきて安く売る」従来のやり方は行き詰まった。
200海里時代の前は、各国の領海以外の世界のほとんどは自由に操業できる「グローバルに開かれた」海域だった。日本の漁船はグローバルに活動し、漁獲量を増大させた。それが200海里時代となり、各国のEEZ内での操業が規制されて日本の遠洋漁業は「カツオ・マグロ類を対象とした海外まき網漁業、遠洋まぐろはえ縄漁業、遠洋かつお一本釣り」が主になったが、縮小を続けている。
水産業において世界は、どこでも各国の漁船が自由に漁業ができるグローバル時代から、各国がEEZを囲い込む体制に移行した。各国が「境界」を拡大して自国が管轄する領域を拡大する行動は、関税を高めて自国市場を囲い込む最近の貿易をめぐる状況を連想させる。国家主権の拡大を求める動きは、グローバリズムを制約する最大の要件だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿