日本の2024年の名目GDP(国内総生産)は前年比2.9%増の609兆円で、初めて600兆円台に乗ったと内閣府(実質GDPは557兆円。速報値)。名目GDPは1973年に112兆円と初めて100兆円台に乗り、その後は約5年ごとに100兆円ずつ増え、92年に500兆円台に乗った。だが、その後は伸び悩み、さらに100兆円を上乗せするために30年以上かかった。
GDPが伸び悩み続けているのは、過半を占める個人消費が長らく停滞しているためだ。社会負担比率が増え続ける一方、賃金は増えず、最低賃金も抑え続けられ、非正規雇用が増えるなど、人々の懐事情は楽ではない。ようやく賃上げ奨励や最低賃金引き上げに政府も動いたが、今度は物価上昇が始まり、人々の懐事情は相変わらず楽ではない。
企業の利益から税金や配当を差し引いた内部留保(利益剰余金)は2023年度末に600兆9857億円となり、初めて600兆円を超えた。名目GDPに匹敵する額だ。賃金など従業員らに対する支払いを抑制してきた「成果」だ。だが、内部留保を積み上げず、従業員らに対する報酬に回していれば、個人消費はもっと活発になり、日本経済の低迷は長引かず、 GDPの伸びははるかに大きかったに違いない。
2025年4月の訪日外国人数は前年同月比28.5%増の390万8900人で、単月としての過去最高を更新したと日本政府観光局は推計する。300万人超えは7カ月連続。中国76万5100人、韓国72万1600人、台湾53万7600人、米国32万7500人などに加え、英独伊など欧州からの訪日客が増えた。
訪日外国人数は2013年頃から増勢が強まって初めて1000万人を超え、2019年に3188万人と伸び続けていたが、コロナ禍による世界的な行動制限で2020年に412万人、2021年に25万人にまで急落した。行動制限が緩和されて2023年に2507万人、2024年に3687万人と急回復し、その勢いは2025年に入っても続いている。
ホテル・旅館業や飲食業、観光バスや観光タクシー、土産販売店、ツアーなどを企画・販売する観光業など訪日外国人を相手にするビジネスは活況を呈しているようで、訪日客による2024年の消費額は8兆1395億円になり過去最高になったと報じられた。円安もあって日本は「安い」国となり、増える訪日外国人の金払いの良さに期待がかけられている。
こうした訪日外国人相手のビジネスが脆さを抱えていることは、先ごろのコロナ禍で実証された。国外からもたらされる消費は大切にしなければならないが、日本経済を着実に成長させるには、日本に住み、日本で生きる人々の消費を活発にすることが最優先だ。訪日外国人の消費に期待をかけなければならない日本の状況は、日本に住み、日本で生きる人々を「貧しく」してきた経済政策の結果である。
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