2025年8月20日水曜日

リベラルの衰弱

 リベラル(liberal)を辞書では形容詞として①自由主義の、進歩的な、②自由な、融通性のある、③(教育で)一般教養の、④偏見のない、寛大な、度量の広い、⑤気前のいい、惜しまず使う、⑥豊富な、たくさんの、名詞として①進歩的な人、自由主義者、②(英国などの)自由党員-とする。形容詞としては広い意味で使用される。

 伝統的な文化や支配構造の継続を重視する保守に対し、リベラルは自由を重視し、国や社会に存在する諸問題を解決・解消するために改革を進める立場だ。国や社会には常に諸問題が存在し、それらに対処する必要があるとの認識では差がなかったとしても、保守は急激な変更を嫌うが、リベラルは「思い切った」改革を辞さなかったりする。

 伝統的な文化や支配構造に対する評価は人により様々で、国や社会に存在する諸問題に対する見方も様々だから、保守もリベラルも一枚岩ではない。穏健派から急進派まで保守・リベラルともに幅広く分かれ、ある問題に対しては保守的で、ある問題に対してはリベラルだ-などと個人の考えは複雑だから、保守もリベラルも固定したものではなく揺れ動く。ただし、政治が絡むと立場としての保守やリベラルにとらわれる人が多くなる。

 米国ではリベラルは、黒人の権利拡大を目指すなどの公民権運動を支持し、社会福祉や人々の平等を重視し、経済における規制を行い、環境問題に危機感を持ち、同性愛や人工中絶の容認などを主張する。一方、米国の保守はキリスト教の価値観を大事にし、小さな政府を目指し、経済における規制を嫌い、多様性の尊重より白人優先意識を持ち、同性愛や人工中絶に反対する。

 欧州からの移民により建国された米国では、リベラルも保守も個人の自由を尊重するが、改革を進めるために国家権力の行使に積極的なのがリベラルで、国家権力の関与を嫌うのだ保守だ。しかし、トランプ大統領は権力を積極的に使って、既存のリベラル寄りの政策を変更している。脱リベラルを国家権力の行使により実現し、保守の世界観を実現しようとする。

 共に個人の自由を重視する米国のリベラルと保守だが、鋭く対立し、社会が分断しているとされる。リベラルが国家権力を使って積極的に「改革」を進め、企業行動に制約を課し、気候変動に対する危機感を煽り、環境保護を強め、多様性の確保を強制し、LGBTQの認知を進めるなど社会を変えようとしたことは、保守の人々に対する価値観の強制だった。

 欧米の影響力で、リベラル寄りの価値観に沿った施策が国際的に進められてきた。主張する価値観を政策化したリベラルは、正しさ(polical correctness)を標榜したが、正しさを主張すると妥協がしづらくなり、対立は先鋭化する。トランプ大統領の一方的な政策変更に米国及び世界のリベラルが抵抗できていない現在は、リベラルの理念先行で「地に足がついていない」政策が問われているともいえる。

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