2025年10月1日水曜日

有効な対策は

 山菜採りに山に入った人がクマに襲われた-などのニュースは以前から毎年、各地から伝えられたが、今年はクマが人里に現れたとか、民家に押し入ったとか、道路を横切ったなどの目撃談がほぼ毎日、全国各地から報じられる。クマの生息数が増えていると研究者は解説し、増えすぎたクマが食糧を求めて、山や森から人里に溢れ出ているような印象だ。

 目撃情報が細かく報じられるようになり、人々のクマに対する警戒心を刺激するとともに関心を高めたので、クマの目撃情報のニュース価値が上がり、以前ならボツになった目撃情報も報じられるようになって、報道量がますます増える。集落や都市郊外に現れたクマに襲われて死傷する人があると大きく報じられ、クマに対する恐怖心を高め、クマの出没情報や目撃情報に対する人々の関心の高さは増幅される。

 クマはどれほど増えているのか。その実態を示すデータは乏しく、生息数についても推定による数値があるだけだ。人里に現れるようになったクマに対応するのは自治体だが、その地域にどれだけのクマが生息しているのか-などのデータが乏しい状況なので、パトロールを強化し、箱ワナを設置して様子を見るだけとなる。国主導で全国的なクマの生息数調査を行うべきだが、そうした動きは見えない。

 クマの繁殖期は6〜7月で「ツキノワグマはオスで2~3歳、メスで4歳程度、ヒグマはオスで2~4歳、メスで3~4歳で繁殖が可能」となり、「繁殖したメスは冬眠中(1月下旬~2月上旬)に出産する」「ツキノワグマは1年半、ヒグマは1~2年半の子育てを行う。それ以外は単独で行動する」(環境省HP、以下同)。

 ヒグマもツキノワグマも1回の出産で2頭前後の子を産むとされる。寿命は「ツキノワグマで15~20歳、ヒグマで20歳程度」とされる(飼育下ではツキノワグマで30歳を超え、ヒグマで38歳の記録がある)。野生のクマの繁殖率を仮に10%とし、ある地域に1000頭のクマが生息していた場合、3年後には1331頭に増え、7年後に1948頭とほぼ2倍になる。山や森にあるクマの食糧は限られているので、飢えたクマが人里に出てくる。

 生息数と同様に野生におけるクマの繁殖率も不明だ。日本でクマは自然界で食物連鎖のトップに位置するだろうから他の捕食動物に襲われて生息数が減ることは考えにくく、クマの個体数が減ることはないだろう。危険を伴うので調査には限度があるだろうが、野生におけるクマのデータが乏しく、生息数など現実を正確に把握できていない状況では、何が有効な対策なのかがぼやける。

 人口増と活発な開発が続いて人間は生活圏を拡大してきたが、それはクマなど野生動物の生息圏を侵食し、縮小させてきた。現在は人口減少と開発の頭打ち、都市への人口集中などによって人間の生活圏が縮小し、クマなど野生動物が増えて生息圏が拡大している状況だ。もしトランプ氏が日本の首相だったら、「国民の命が脅かされている」として強硬なクマ対策を実行させるかもしれない。

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