2年前の2023年10月にハマスがイスラエルに奇襲攻撃を行い、約1200人のイスラエル人を殺害し、約250人を人質として連れ去った。ハマスには大規模な戦闘を仕掛けることはできまいと慢心していたイスラエルは、ハマス側からの集中的なロケット弾攻撃の中、分離壁のあちこちを破壊され、多数の戦闘員のイスラエル側への突入を許した。
惨事の後、イスラエルはガザ侵攻を開始し、ガザを徹底的に破壊するとともに、これまでに6万7000人以上のパレスチナ人を殺害した(犠牲者には子供も多く含まれる。実数はもっと多いと見られる)。イスラエルがガザで行っていることは「ジェノサイドだ」と各国や国際機関などから指摘されるが、イスラエルは猛反発し、ハマスの行ったテロに対する正当な反撃だと主張する。
イスラエルのガザ攻撃を支えるのは、人々の間に広がったハマスに対する復讐心が大きいだろうが、武装した敵対勢力の存在を許していたから惨事が起きたので徹底的に無力化すべきだとか、ガザを占領してユダヤ人の入植地にするなどの主張もあるようだ。ネタニヤフ政権を支える極右政党からは、ガザからのパレスチナ人追放を求める主張などがある。
徹底的に破壊したガザでイスラエルは国際的な支援活動を制約し、飢えに直面している人々がいると伝えられ、「ジェノサイド」が進行中であることは明白だが、イスラエルの行動を国際社会は座視するしかない状況だ。イスラエルに対して影響力を有する米国だが、トランプ大統領がパレスチナ人をガザ以外に移住させることを主張したりする状況では、米国はイスラエルの行動を支持していると見るしかない。
イスラエルの行動を米国は理解でき、共感できるのかもしれない。かつて米国は奇襲攻撃を受け、反撃して徹底的に相手側を破壊した歴史がある。1941年の真珠湾攻撃では米国側の戦死・行方不明者は2400人以上になり、世論は沸騰、米国は参戦し、やがて日本への大規模な都市空爆を続け、大量の民間人を殺害し、さらに広島・長崎への原爆投下により20万人以上を殺害した(これはジェノサイドだが、米国が責任を問われることはなかった)。
2001年に米NYの世界貿易センタービルなどに乗っ取られた旅客機が突入し、乗客やビル内にいた人など2977人が死亡した。世論は沸騰、約1カ月後に米国はアフガニスタン空爆を開始して、タリバン政権を崩壊させ、2003年にイラク戦争を開始してフセイン政権を倒した。米国の対テロ戦争で死者は、アフガニスタンやイラクで兵士は30万人ほど、民間人は36万〜38万人と推定されている(対テロ戦争による直接・間接的な死者は少なくとも450万人との推計もある)。
奇襲攻撃を受けて世論は沸騰し、高まりすぎた復讐心が、その後の政府の軍事的な反撃を容認・後押しする一方、政府の行動を監視する世論の機能が低下する。社会に高まった復讐心が、政府の過剰な軍事的な報復(大量殺害=ジェノサイド)を容認する構図は、今のイスラエルと米国の過去に共通する。社会における復讐心の暴走は「やられたら、もっと、やり返せ」と過剰な大量殺害を招く。
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