「支配を続けてやるから、カネを出せ」と米国に言われて、EUは6000億ドル、日本は5500億ドル、韓国は3500億ドルの対米投資をそれぞれ約束した。一方的な関税引き上げなど米国の強硬姿勢に抵抗できず、米国市場からの撤退は選択肢になかったので、各国の米国懐柔策は大盤振る舞いを約束することだった。
EUと日本、韓国に共通するのは①安全保障を米国に頼っている、②経済規模が大きい、③対米黒字を計上している-ことだ。米国は世界各国に基地を置いて米兵を駐留させているが、EU諸国と日本、韓国には米軍基地が多く、日本やドイツ、韓国、イタリア、イギリスは米軍基地数のトップ5となる。
米軍に安全保障を頼るということは、各国の独自の戦力が少なくて済むということだが、それは、各国の独自の戦力強化を米国が制約していることも意味する。そうした米軍の世界展開は米国にとって負担であろうが、同時に米国の各国に対する影響力を確保し、米国の世界的な影響力を維持するために必要なことだった。
かつて米国は民主主義や自由、人権などを重視する外交姿勢で、そうした理念を掲げる国として世界に影響力を保っていると見られていたが、実態は世界各国に展開する米軍によって各国の「自立」を制約し、従わせていた。ロシアや中国など権威主義国家の台頭を「帝国の復活」と解釈する論があるが、米国こそ世界的な米軍の配置と圧力により帝国として第二次大戦後、君臨していた。
帝国とは「多数の民族と異なる文明を内包する広大な土地を支配する国家」「広大な領土に複数の民族や文化を内包し、それらを超越する中央政府を持つ統治体制」などとされる。帝国の支配を支えるのは軍事力だ。かつての諸帝国は強力な軍事力で領土を広げたが、現在のアメリカは領土を広げず、世界各国に基地を置く。米国は帝国内に各国を取り込んで支配するのではなく、各国の「独立」を容認し、各国の文化などの独自性も容認するが、各国に米軍を駐留させ、安全保障については米国に頼る仕組みにさせている。
安全保障を米国に頼らせ、米国市場を開放することで経済的にも米国に依存させることで米国流の帝国は存在する。民族自決などにより独立国に世界が分割された状況で米国流の帝国はうまく機能した(現在は帝国内に異民族を抱え込む時代ではない。中国がウイグルやチベットなどを強権で押さえ込むのは、過去の帝国の概念にとらわれているからだ)。米国流の帝国支配によって米国は世界的な影響力を保つことができているのだが、米国への富の還元システムが米国が推進したグローバリズムで機能しなくなってきて、国内の人々の不満が高まった。
なりふり構わず米国はその帝国内の諸国からカネをむしり始めた。もちろん、米国から諸国が離反することは許さず、諸国の安全保障を米国は「保障」する=支配は続けるとの枠組みは崩さない。米国流の帝国の世界支配が終わるのは、ドイツがロシアと手を組み、日本が中国と手を組んだ時だろう。その時、米国の優位は一気に崩れるが、同時に世界は一気に不安定化する。
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