2025年11月7日金曜日

唯一神信仰と日本

 9月の訪⽇外客数は326万6800人、1〜9月累計では3165万500人となり、過去最速で3000 万人を突破したと日本政府観光局(JNTO)は推計する。9月の300万人超えは初めてとされ、その要因は「継続的な訪⽇旅⾏の人気の高まり等もあり、東アジアでは中国、台湾、東南アジアではインドネシア、インド、欧米豪では米国、ドイツを中心に訪⽇外客数が増加した」とJNTO。

 円安もあって日本が格安の旅行先になり、初めて日本を訪れた各国の人々は、母国とは異なる社会・文化・風景・風土などを見たり感じたり発見しただろう。それらが母国とは異なるからと批判的にならず、受け入れたから旅行先としての日本が評価されている。世界には自国と異なる社会・文化・歴史などを有する国があり、自国とは異なる社会・文化・歴史などに新たな魅力があることを理解するには外国旅行が役にたつ。

 欧米はキリスト教の強い影響下に社会・文化を形成し、アラブ地域や中東などはイスラム教の強い影響下に社会・文化を形成した。どちらも唯一の絶対神を信仰する。アジアにもイスラム教の強い影響下に社会・文化を形成した諸国があり、インドはヒンズー教の強い影響下に社会・文化を形成したが、東アジア諸国には仏教の強い影響下に社会・文化を形成した国が多い。

 仏教圏から日本を訪れた人々は、寺が多い日本には親近感を感じ、日本の社会・文化などに違和感を感じることは少ないだろう。だが、唯一の絶対神を信仰するキリスト教やイスラム教の社会的影響が強い諸国から日本を訪れた人は、近代化された日本で垣間見える唯一神信仰とは異なる文化を経験する。そこで感じるのは、違和感か解放感か。

 どちらを感じるかは個人によって異なる。唯一神信仰を絶対とする人なら違和感を感じるだろうし、社会的な影響力が強い宗教を抑圧と感じていた人なら、宗教色が薄い日本で開放感を感じるだろう。また、唯一神信仰がなくても、人は生きることができるし、機能する社会や国家を構築することができることを日本で実際に見て、世界を創造したという唯一神に対する信仰について考え始める人もいるかもしれない。

 アニメなどの日本発の文化を好む人が世界で増えていると言われ、日本に来なくても日本文化を見て、体験する人が世界に増えている。唯一神信仰が基調の社会で日本文化が広がりを見せているのは、それぞれの社会における宗教の影響力の減退(宗教離れ)と関係するとすれば、宗教の社会的影響力が弱い日本社会は、唯一神信仰に基づいて形成された諸国の社会の将来像かもしれない。

 宗教には様々な禁忌(タブー)がつきものだ。宗教の影響が強い社会では宗教による禁忌が制度化され、それに従うことを人々は強制される。そうした禁忌の存在は信仰に距離を置く人には負担となる。唯一神信仰の束縛から自由に生きることができる日本社会は、宗教由来の規範ではなく、人々が歴史的に培ってきた規範で動く社会であり、脱宗教へと向かうかもしれない世界のモデルケースとなる。

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