2025年11月29日土曜日

国連憲章

 国際連合憲章は「国連の基本文書で、加盟国の権利や義務を規定するとともに、国連の主要機関や手続きを定めている。また、国際条約としての国連憲章は加盟国の主権平等から国際関係における武力行使の禁止にいたるまで、国際関係の主要原則を成文化している」(国連広報センターHP)。

 国連憲章は1945年6月、連合国50カ国が集まったサンフランシスコ会議で採択され、米・英・仏・ソ連・中国(中華民国)の5大国と署名国の過半数の批准を経て、同年10月に国際連合が発足した。国連憲章の原案は1944年8月〜10月に米・英・ソ連・中国(中華民国)による会議で輪郭が形成されたもので、第二次大戦における連合国の思惑が強く反映している(この5大国は国連で拒否権を有する)。

 国連憲章の敵国条項では、第二次大戦で連合国に敵対していた枢軸国が、侵略行為を行うか、侵略政策を再現した場合、国連安保理の許可がなくとも当該国に軍事制裁を課すことができるとする。敵国は「第二次世界戦争中にこの憲章のいずれかの署名国の敵国であった国」とされる。枢軸国の復活に当時の連合国が強い警戒心を持っていたので、こうした条項が組み込まれた。

 敵国条項は、第53条(いかなる強制行動も、安全保障理事会の許可がなければ、地域的取極に基いて又は地域的機関によってとられてはならない。敵国のいずれかに対する措置で、第107条に従って規定されるもの又はこの敵国における侵略政策の再現に備える地域的取極において規定されるものは、関係政府の要請に基いて、この機構がこの敵国による新たな侵略を防止する責任を負うときまで例外とする)と第107条(この憲章のいかなる規定も、第二次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動で、その行動について責任を有する政府が、この戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない)などだ。

 中華人民共和国の在日本大使館は国連憲章の敵国条項を持ち出し、日本に対して「安保理の許可を要することなく、直接軍事行動を取る権利を有すると規定している」と脅したが、日本外務省は「死文化した規定がいまだ有効であるかのような発信は、国連において既に行われた判断と相いれない」と反論した。

 1995年の国連総会で敵国条項の改正削除が賛成155・反対0で採択され(中華人民共和国も賛成した)、「死文化したとの認識が示された」(外務省HP)。2005年の国連首脳会議の成果文書において「国連憲章上の敵国への言及を削除することへの加盟国の決意が表明されている」(同)。死文化したとはいえ敵国条項が削除されずに残っているので、今回のように中華人民共和国やロシアが外交の道具に使用する。

 国連において中華人民共和国は中華民国の、ロシアはソ連の席をそれぞれ引き継いだ。中華人民共和国の建国は1949年、ソ連崩壊後に現ロシアが誕生したのは1991年なので、両国は国連憲章にも国連形成にも関与していない。第二次大戦後の世界秩序の構築に関与せず、何らの責任も持たない両国が国連憲章を都合よく利用するのは、欧米主導の世界秩序に戦勝国ではない両国がタダ乗りしている様相だ。ロシアのウクライナ侵攻や中華人民共和国の南シナ海における領海拡大が示すように、両国は国連憲章が示す秩序を自国の都合で無視する。

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